
こんにちは、物語の知恵袋のふくろうです。
映画『暴走特急』を観ていて面白いのは、列車を占拠したテロリストたちが、かなり大掛かりな計画を準備しているにもかかわらず、たった一人の乗客によって少しずつ追い詰められていくところです。その乗客こそ、スティーヴン・セガール演じるケイシー・ライバック。
前作『沈黙の戦艦』で戦艦ミズーリを救った元海軍特殊部隊の男が、今度は休暇中に乗り合わせた大陸横断列車でテロ事件に巻き込まれます。
私が本作を観て特に魅力を感じたのは、複雑な理屈よりも「よりによってライバックがいる列車を選んでしまった」という分かりやすい痛快さでした。敵の計画は国家規模ですが、ライバック本人は慌てることなく、いつもの調子で一人ずつ相手を片付けていきます。
ただ、テロの首謀者トラヴィス・デインが何を狙っているのか、マーカス・ペンとはどんな関係なのか、衛星兵器グレイザー1がなぜ重要なのかは、展開が速いため少し分かりにくいところもあります。
そこでこの記事では、映画『暴走特急』のあらすじから敵の正体と目的、ライバックの反撃、そして最後にデインやペンがどうなるのかまで、ネタバレ込みで詳しく追っていきます。
この記事でわかること
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映画『暴走特急』と『沈黙の戦艦』の関係
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敵トラヴィス・デインとマーカス・ペンの正体
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衛星兵器グレイザー1を奪った本当の目的
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ライバックとサラの最後までの結末
映画『暴走特急』の作品概要
まずは『暴走特急』がどのような映画なのかを押さえておきましょう。日本ではスティーヴン・セガール主演作に「沈黙」の題名が付けられた作品が数多くありますが、本作はその中でも特別な位置にあります。
基本情報と主要キャスト
『暴走特急』は1995年公開のアメリカ映画で、原題は『Under Siege 2: Dark Territory』です。監督はジェフ・マーフィー。前作からケイシー・ライバック役のスティーヴン・セガールが続投しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 邦題 | 暴走特急 |
| 原題 | Under Siege 2: Dark Territory |
| 公開年 | 1995年 |
| 監督 | ジェフ・マーフィー |
| ケイシー・ライバック | スティーヴン・セガール |
| トラヴィス・デイン | エリック・ボゴシアン |
| サラ・ライバック | キャサリン・ハイグル |
| ボビー・ザックス | モリス・チェストナット |
| マーカス・ペン | エヴェレット・マッギル |
最大の特徴は、戦艦を舞台にしていた前作から一転し、ロッキー山脈を走る大陸横断列車が主な舞台になったことです。狭い客車、厨房、荷物車、屋根、線路沿いなど、列車ならではの場所を利用した戦闘が次々と展開されます。
『沈黙の戦艦』との関係
『暴走特急』は、1992年の映画『沈黙の戦艦』の正式な続編です。原題に「Under Siege 2」と入っていることからも、その関係が分かります。
日本ではセガール主演映画の多くに「沈黙」という邦題が付けられたため、すべてが同じ世界のシリーズ作品のように見えるかもしれません。しかし、ケイシー・ライバックという同一人物を主人公とする物語は『沈黙の戦艦』と『暴走特急』です。
前作の事件後、ライバックは海軍を離れ、コロラド州デンバーでレストランを経営しています。つまり本作でも「元特殊部隊員なのに現在は料理人」という、ライバックを象徴する設定がそのまま受け継がれているわけです。
日本での劇場公開時には『沈黙シリーズ第3弾/暴走特急』として紹介されましたが、物語としては『沈黙の戦艦』から直接続くライバックの2作目と考えると分かりやすいです。
暴走特急の敵は誰なのか
本作のテロリスト側を見ると、中心となる悪役が二人います。計画そのものを考えたトラヴィス・デインと、武装した傭兵部隊を率いるマーカス・ペンです。この二人の役割を分けて考えると、物語がかなり見えやすくなります。
トラヴィス・デインの正体
トラヴィス・デインは、CIAが極秘開発していた衛星兵器グレイザー1の開発に関わった天才技術者です。
しかし、非常に優秀な人物である一方、人格面に大きな問題があると判断され、計画の途中でCIAから解雇されていました。その後は自殺したものと思われていましたが、実際には死を偽装して生きています。
デインが恐ろしいのは、自ら銃を手にして戦場を走り回るタイプではないところです。コンピューターと通信機器を操り、離れた場所にある人工衛星を奪い、そこから地上へ攻撃を仕掛けます。
ライバックが肉体と実戦経験を武器にする人物なら、デインは知識と技術を武器にする人物。まったく違う方法で戦う二人が対立する構図になっています。
マーカス・ペンの役割
もう一人の重要人物がマーカス・ペンです。ペンはデインと行動をともにする傭兵部隊のリーダーで、列車の占拠や乗客の監視、ライバックの排除といった実戦面を担当しています。
デインが作戦を動かす頭脳なら、ペンはそれを実行する現場責任者と考えればいいでしょう。
ペンはナイフを使った格闘にも自信を持ち、自らの部下にも容赦しません。当初は列車内で抵抗している人物をそこまで深刻には受け止めていませんでしたが、その正体がケイシー・ライバックだと判明すると状況が変わります。
前作の事件で名を知られたライバックは、傭兵たちから見ても無視できない人物でした。そこからペンは自分の手でライバックを仕留めることにこだわるようになり、最後にはサラを利用して直接対決を仕掛けます。
頭脳と実戦で分かれた敵側
デインとペンは、同じテロ集団にいながら性質が大きく異なります。
デインはグレイザー1を乗っ取って国家規模の危機を作り、ペンは列車内を武力で支配する人物です。その二つをライバックが列車内から同時に壊していくところが、本作の基本構造になっています。
面白いのは、ライバックがデインとコンピューター技術で正面から競うわけではない点です。衛星システムそのものを攻略するのではなく、デインが持っている制御手段へ直接手を出します。
複雑なハイテク犯罪に対し、最終的な解決方法がとてもライバックらしい。ここは『暴走特急』の痛快さを象徴するところかなと思います。
デインの目的とグレイザー1

では、なぜデインは大陸横断列車を占拠したのでしょうか。単なる金目当ての列車強盗ではありません。彼が本当に必要としているのは、CIAが開発した衛星兵器グレイザー1へのアクセスです。
グレイザー1とは何なのか
グレイザー1は、宇宙空間から粒子ビームを照射して地上の目標を破壊できる極秘の衛星兵器です。本来は地下施設への攻撃などを想定した軍事システムですが、デインはその設計に深く関わっていました。
つまり、誰よりもグレイザー1の能力や仕組みを理解している人物が、開発組織に恨みを抱いたまま野に放たれてしまったことになります。
しかもデインは、衛星を直接奪う必要がありません。アクセスコードさえ手に入れれば、遠隔操作によって攻撃を実行できます。そこで目を付けられたのが、グレイザー1へのアクセスに必要な情報を知るCIA職員でした。
列車を占拠した理由
グランド・コンチネンタル号には、グレイザー1のアクセスコードを知るCIA職員リンダ・ギルダーとデヴィッド・トリリングが私的な旅行で乗車していました。
デインたちは列車を占拠すると二人を捕らえ、脅迫してコードを聞き出します。用が済んだ二人は殺害され、デインはグレイザー1の制御へ踏み込んでいきました。
さらに列車は、ロッキー山脈の中でも外部との通信が難しい「ダークテリトリー」を走ります。移動し続ける列車を司令部として利用すれば、政府側に現在地を突き止められにくいという利点もあります。
ただ、現実性だけを考えると「ここまで大掛かりな設備を列車へ持ち込む必要があったのか」と感じる部分はあります。そこは列車という舞台でアクションを成立させるための映画らしい設定として楽しむところでしょう。
金と復讐が重なった計画
デインの目的には巨額の利益と、自分を切り捨てた側への復讐が重なっています。
グレイザー1を掌握すると、デインはその威力を見せつけるため、中国・広州にある化学兵器工場を攻撃します。周囲を巻き込む大惨事を起こすことで、自分が本物の兵器を手にしていることを証明しました。
そして世界の反米組織などに対し、グレイザー1を使ってアメリカを攻撃すると持ちかけ、総額10億ドルもの金を要求します。さらに追加報酬を受け取り、個人的な暗殺依頼まで衛星攻撃で実行しようとします。
彼にとってグレイザー1は兵器であると同時に、世界中の標的を売買できる究極の商売道具でもあるわけです。
ペンタゴン攻撃の狙い
デインが最終的な標的として選ぶのが、アメリカ国防総省、いわゆるペンタゴンです。
狙っているのは地下にある原子炉。そこをグレイザー1で破壊すれば、列車の乗客とは比較にならないほど深刻な被害が発生します。
そのため政府側も「列車の人質を助けること」だけを考えていられません。必要であれば列車そのものを攻撃してでも、デインの計画を止める判断を迫られます。
◆ふくろうのワンポイント
ここで面白いのは、列車内ではライバックと数十人規模のテロリストが戦っているのに、その結果が国家全体の危機につながっているところです。小さな閉鎖空間と巨大な衛星兵器を同時に動かすことで、本作は見た目以上にスケールの大きな話になっています。
映画『暴走特急』のあらすじ

ここからは、映画の冒頭からクライマックスまでを順番に追っていきます。最後の結末にも触れるため、未鑑賞でネタバレを避けたい場合は注意してください。
ライバックとサラの列車旅行
前作の戦艦ミズーリ事件を経て海軍を除隊したケイシー・ライバックは、デンバーでレストランを経営していました。
そんな彼には一つ心残りがあります。海軍に所属していた兄ジェームズが5年前に事故で亡くなった際、ライバックは葬儀へ出席できませんでした。そのことで兄の娘サラとは疎遠になっています。
そこでライバックはサラとの関係を修復し、亡き兄の墓参りへ向かうため、一緒に大陸横断列車グランド・コンチネンタル号へ乗り込みます。
サラは当初、叔父に対してよそよそしい態度を見せます。それでも旅を続けるうちに、二人の間にあった距離は少しずつ縮まっていきました。
列車がテロリストに占拠される
列車がロッキー山脈へ入り、通信しにくい区域を走っているところで、武装集団が動き始めます。
彼らを率いているのがマーカス・ペン。そして計画の中心にいるのが、死んだと思われていたトラヴィス・デインでした。
乗客と乗員の多くは後方車両へ集められ、人質にされます。しかしライバックは食堂車の厨房にいたため、テロリストの最初の包囲を逃れました。
この時点でテロリスト側は、自分たちがどんな人物を取り逃がしたのか知りません。ところがライバックは状況を確認すると、サラを救うためすぐ行動を始めます。
ボビー・ザックスとの共闘
ライバックが列車内を移動する途中で出会うのが、ポーターとして働く青年ボビー・ザックスです。
ボビーも襲撃時に荷物車へ逃げ込んだことで、人質になるのを免れていました。戦闘の専門家ではありませんが、列車の構造や設備に詳しいため、ライバックにとって大切な協力者になります。
もちろんボビー本人からすれば、突然テロリストだらけの列車で伝説級の元特殊部隊員について行くことになったわけですから、たまったものではありません。それでも逃げるだけではなく、最後までライバックを支えます。
重たい展開が続く中で、ボビーの少し軽い雰囲気が息抜きになっているのも本作の良いところです。
ライバックの反撃が始まる
列車全体を支配したつもりだった傭兵たちは、一人、また一人と姿を消していきます。
ライバックは特殊部隊で培った格闘や銃器の扱いだけでなく、周囲にある物や列車の構造まで利用して戦います。敵の人数が多いため、全員を一度に相手にするのではなく、孤立した相手を狙って戦力を減らしていくのです。
やがてテロリスト側も、列車内にただの抵抗者が潜んでいるわけではないと気付き始めます。
さらに回収された携帯端末の中に「ライバック」の名前が残されていたことで、相手の正体がケイシー・ライバックだと判明。ここから傭兵たちの表情が変わっていきます。
敵側にとって最大の誤算は、列車を占拠したことではなく、その列車にケイシー・ライバックが乗っていたことです。
アップル・ニュートンで外部へ連絡
本作を今見ると、時代を感じて面白いのがライバックの使う携帯端末です。
彼はアップル・ニュートンを利用し、自分が経営するレストランへFAXを送ります。そこから情報が国防総省側へ伝わり、ようやく「ハイジャックされた列車の中にライバックがいる」ことが判明します。
1995年の作品らしい電子機器ですが、格闘だけでなく通信手段まで自力で確保するところがライバックらしいところ。何でもできすぎではあるものの、そこまで含めてこの主人公の魅力です。
ライバックが圧倒する理由

『暴走特急』では、ライバックがかなり危険な状況へ追い込まれているはずなのに、本人からほとんど焦りが伝わってきません。その理由は、彼が単なる腕の立つ料理人ではないからです。
元海軍特殊部隊の指揮官
ケイシー・ライバックは、海軍特殊部隊ネイビー・シールズの対テロ部隊で指揮官を務めていた人物です。
白兵戦、銃器、潜入、爆発物、危機管理など、多方面の技術を身につけています。前作ではその能力を使って、テロリストに奪われた戦艦ミズーリを取り戻しました。
つまり『暴走特急』のテロリストたちは、「たまたま料理人が反抗してきた」のではありません。よりによって対テロ戦の専門家を人質に取り損ねたことになります。
格闘だけに頼らない戦い方
スティーヴン・セガールといえば関節技を中心とした格闘が印象に残りますが、ライバックが厄介なのは肉弾戦だけではありません。
敵の武器を奪い、列車の設備を利用し、爆発物を作り、通信手段を確保し、必要なら列車の外へ出て再び乗り込む。目の前の相手を倒すだけでなく、常に事件全体を見ながら動いています。
このため、デイン側が一つ対策を打っても、別の場所から問題が発生します。ペンが兵士を送り込むほど、その兵士が戻ってこなくなる。敵側から見ればかなり怖い状況でしょう。
主人公の圧倒ぶりは欠点にもなる
一方で、本作の好みが分かれるのもここです。
ライバックはあまりにも落ち着いており、かなりの数の傭兵を相手にしても大きく動揺しません。観客側にも「結局ライバックなら何とかするだろう」という安心感が早い段階で生まれます。
そのため、追い詰められた主人公がギリギリの状況から逆転するタイプの映画を期待すると、緊張感が物足りなく感じられるかもしれません。
ただ、私はここを本作の欠点だけとは思いません。悪人たちが自信満々で計画を進めた結果、とんでもない人物を敵に回してしまう。その過程を見る映画だと思えば、むしろ爽快感につながっています。
◆ふくろうのワンポイント
『暴走特急』は「ライバックが勝てるのか」を心配する映画というより、「敵はいつライバックの恐ろしさに気付くのか」を楽しむ作品です。この見方に切り替えると、主人公の圧倒ぶりがかなり気持ちよく見えてきます。
暴走特急の最後の結末
終盤になると、デインによるペンタゴン攻撃、ペンとライバックの直接対決、暴走する列車、迫る貨物列車との衝突が一気に重なります。ここからはラストまで完全なネタバレです。
乗客を後方車両ごと救う
デインたちは、計画が終われば自分たちだけヘリコプターで脱出するつもりでした。
そして残された列車は別の貨物列車と衝突させ、乗客や乗員だけでなく、事情を知らされていない一部の傭兵までまとめて死亡させようとします。列車事故によって、自分たちも死亡したように見せかける狙いでした。
この計画に気付いたライバックは、乗客と乗員が閉じ込められている後方車両を切り離します。列車全体を止めることはできなくても、人質の乗っている車両だけを危険から遠ざけたのです。
ところが、そこにサラはいません。ペンがライバックをおびき出すため、別の場所へ連れ去っていました。
ライバックとペンの一騎打ち
ペンは乗客名簿などからサラがライバックの姪だと突き止め、人質として利用します。
実戦部隊を率いてきたペンにとって、最後は自分自身がライバックを倒して決着をつけたい。そこでサラを餌にし、ライバックとの一騎打ちへ持ち込みます。
ナイフ戦にも自信を持つペンですが、対するのはケイシー・ライバックです。
激しい格闘になりますが、最終的にはライバックが主導権を握り、ペンは首を折られて死亡します。終盤まで大物らしい雰囲気を漂わせていた相手なのに、ライバックと真正面から戦うと差が出てしまう。このあたりもセガール映画らしい決着です。
デインの計画はどう止まるのか
その頃、グレイザー1によるペンタゴン攻撃の時間も迫っています。
政府側はデインが大量の偽情報を混ぜた軌道データから本物の衛星を特定しようとしますが、間に合いません。ミサイルによる迎撃も失敗し、外部から攻撃を止める方法はほとんどなくなっていました。
一方、列車内ではライバックが逃走しようとしているデインへ迫ります。
デインは、もう攻撃を止めることはできないと余裕を見せます。しかしライバックは、デイン本人と彼が持っている制御端末をまとめて撃ち抜きます。
端末が破壊されたことでデイン側の制御が失われ、国防総省がグレイザー1への制御権を取り戻します。そして攻撃直前に衛星を自爆させ、ペンタゴンへの攻撃を阻止しました。
天才技術者デインが作り上げた複雑な衛星テロを、ライバックは「制御している端末そのものを壊す」という極めて単純な方法で終わらせます。この豪快さが実にライバックらしいところです。
デインの最後と列車の衝突
しかし、まだ列車そのものの危機は終わっていません。
デインたちが仕組んだ通り、グランド・コンチネンタル号は貨物列車との正面衝突へ向かっています。
その一方でボビーとサラは、テロリストが脱出用に準備していたヘリコプターを奪うことに成功。ライバックはヘリから垂らされた縄梯子につかまり、衝突寸前の列車から脱出します。
デインもまだ生きており、同じ縄梯子へしがみついて逃げようとします。さらにライバックへ協力を持ちかけますが、もちろん受け入れられるはずもありません。
最後はデインが振り落とされ、衝突した列車の大爆発へ巻き込まれて死亡。トラヴィス・デインとマーカス・ペンはともに死亡し、グレイザー1による攻撃も阻止されます。
ライバックとサラのラスト
事件解決後、ライバックは対策本部へ連絡を入れ、テロリストが倒されたことと乗客たちが助かったことを伝えます。
そして映画は、派手な爆発や戦闘とは対照的な静かな場面で締めくくられます。
ライバックとサラは、サラの父でありライバックの兄でもあるジェームズの墓を訪れます。
旅の始まりでは距離のあった叔父と姪ですが、命懸けの事件を乗り越えたことで再び家族として向き合えるようになりました。
つまり本作のラストは、テロ事件の解決だけではありません。物語の冒頭から続いていたライバックとサラの関係修復もここで一区切りを迎えます。
列車が舞台だから面白い理由

『暴走特急』を単純に見ると、「主人公が占拠された場所で一人ずつ敵を倒す」という王道のアクション映画です。それでも前作とはかなり違う印象になるのは、舞台が列車になったことが大きいでしょう。
走る密室ならではの展開
列車は建物と違い、常に高速で移動しています。
一つの車両から別の車両へ移動するだけでも敵に発見される危険があり、屋根へ出れば転落する可能性があります。さらにトンネルや線路の分岐、対向列車など、移動しているからこそ起こる危機もあります。
前作の戦艦も閉鎖された空間でしたが、本作では「この列車がどこへ向かっているのか」という時間制限まで加わります。
最終的には列車そのものが巨大な時限爆弾のような存在となり、貨物列車との衝突が迫る。この疾走感こそ『暴走特急』という邦題にぴったりです。
ハイテクと肉弾戦の対比
もう一つ興味深いのが、1990年代らしいハイテク描写です。
人工衛星から地上を監視し、コンピューターを通して遠距離から標的を攻撃するデイン。その一方でライバックは、列車内を自分の足で移動し、敵へ直接近づいて倒していきます。
さらにアップル・ニュートンやFAXなど、当時の先端技術が物語の重要な道具として登場するところも、現在見ると味があります。
映像や電子機器にはさすがに時代を感じます。それでも、それが欠点というより1990年代アクション映画ならではの雰囲気になっているんですよね。
暴走特急を観た感想と評価
『暴走特急』は、緻密な犯罪計画や現実的な軍事描写を味わう映画というより、スティーヴン・セガール演じるライバックの圧倒的な存在感を楽しむ娯楽アクションです。
爽快感を優先したアクション
私が観ていて気持ちよかったのは、ライバックがほとんど迷わないところです。
敵を見つければ対処する。使える設備があれば利用する。サラが捕まっていれば助けに向かう。デインの端末が問題なら端末ごと撃つ。
一つひとつの判断が非常に早いため、物語も立ち止まりません。
敵側には天才技術者、熟練の傭兵、スナイパーなどさまざまな人物がいますが、ライバックが本格的に動き始めると次々に戦力を失っていきます。
まさに「最悪の列車を選んでしまったテロリストたち」を眺める映画。ここにハマればかなり楽しめると思います。
緊張感が薄いところは好みが分かれる
反面、ライバック本人に危機感がほとんどありません。
通常のアクション映画なら、最後の敵との戦いでは主人公が何度も倒され、ギリギリで立ち上がる展開が定番です。しかし『暴走特急』では、大物として描かれてきたペンとの戦闘でさえ「本当にライバックが負けるかもしれない」と感じる時間はそれほど長くありません。
テロリスト側の計画にも、「そこまで危険な作戦をなぜ列車で行うのか」と感じるところがあります。細部まで突き詰めれば、かなり豪快な設定です。
緻密なサスペンスや現実的なテロ対策を期待すると、展開の大ざっぱさが気になるかもしれません。本作は細部のリアリティより、列車・衛星兵器・格闘・銃撃・爆発を一気に楽しむタイプの映画です。
それでも最後まで退屈しにくい
私はこの粗さを含めても、かなり見やすいアクション映画だと思います。
列車ジャックが始まり、ライバックが反撃し、衛星兵器の危機が拡大し、政府が動き、ペンとの直接対決があり、最後には列車同士の衝突まで待っています。
一つの出来事が長く停滞せず、次の危機へ次々につながっていくため、話が分かりやすい割に見せ場は多めです。
何より、ライバックが悪人を倒していくという軸が最後までぶれません。複雑な考察をしなくても、そのまま楽しめる気持ちよさがあります。
◆ふくろうのワンポイント
個人的には、ライバックが圧倒的すぎて緊張感が薄くなるところも含めて『暴走特急』らしさだと思います。「主人公が苦戦する映画」ではなく、「敵がどこまで抵抗できるのかを見る映画」と考えると、かなり印象が変わりますよ。
映画『暴走特急』をさらに深掘り
最後に、映画を観たあとに気になりやすいポイントをQ&A形式で確認しておきます。敵の正体やシリーズとの関係、ラストについて短く答えています。
映画『暴走特急』に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 映画『暴走特急』の敵は誰ですか?
A. 主な敵は、衛星兵器グレイザー1の開発に関わった元CIA技術者トラヴィス・デインと、傭兵部隊を率いるマーカス・ペンです。デインが計画と衛星操作を担当し、ペンが列車占拠や戦闘を担当しています。
Q2. トラヴィス・デインの目的は何ですか?
A. デインはグレイザー1を乗っ取り、その攻撃能力を利用して巨額の金を得ると同時に、自分を切り捨てたCIAやアメリカ政府へ復讐しようとします。最終的にはペンタゴン地下の原子炉を標的にします。
Q3. 『暴走特急』は『沈黙の戦艦』の続編ですか?
A. はい。原題は『Under Siege 2: Dark Territory』で、『沈黙の戦艦』の正式な続編です。主人公も同じケイシー・ライバックで、前作の事件後に海軍を離れた彼が再びテロ事件へ立ち向かいます。
Q4. マーカス・ペンは最後どうなりますか?
A. サラを人質にしてライバックとの一騎打ちへ持ち込みますが、格闘で敗れ、最後は首を折られて死亡します。実戦部隊のリーダーとして登場しますが、直接対決ではライバックが上回りました。
Q5. 『暴走特急』の最後にデインとライバックはどうなりますか?
A. ライバックがデインの制御端末を破壊したことでグレイザー1への制御権が戻り、衛星攻撃は阻止されます。デインは脱出しようとしますが、最後は列車衝突による爆発へ巻き込まれて死亡。ライバック、サラ、ボビーはヘリコプターで脱出します。
映画『暴走特急』ネタバレまとめ
『暴走特急』は、衛星兵器を奪った天才技術者と傭兵たちを、休暇中のケイシー・ライバックが列車内から崩していく痛快なアクション映画です。
敵側の計画はかなり大掛かりですが、最大の誤算はグランド・コンチネンタル号にライバックが乗車していたことでした。
- 『暴走特急』は1995年公開のアメリカ映画
- 『沈黙の戦艦』から続くケイシー・ライバックの物語
- 敵の首謀者は元CIA技術者トラヴィス・デイン
- 傭兵部隊を率いるマーカス・ペンが実戦を担当する
- デインは衛星兵器グレイザー1を遠隔操作する
- 目的には巨額の金とCIAや政府への復讐がある
- ライバックはボビーと協力して列車内から反撃する
- ペンはサラを人質にするがライバックとの格闘で死亡する
- デインの制御端末が破壊されグレイザー1の攻撃は阻止される
- デインは列車衝突による爆発の中で死亡する
- ライバックとサラ、ボビーはヘリコプターで脱出する
- 最後はライバックとサラがジェームズの墓参りをする
列車という限られた空間で格闘や銃撃を繰り返しながら、物語の外側では衛星兵器による国家規模の危機が進行する。この二つを同時に走らせているところが『暴走特急』の面白さです。
確かに、ライバックがあまりにも圧倒的なので、最後まで「主人公が負けるかもしれない」という緊迫感はそれほどありません。テロリスト側の計画にも豪快な部分があります。
それでも、細かい理屈を吹き飛ばすほど分かりやすい爽快感があるんですよね。
「最強クラスの元特殊部隊員が偶然乗っている列車を、テロリストがよりによって占拠してしまった」。この一文だけで面白そうだと感じるなら、『暴走特急』はかなり相性のいい作品だと思います。