
こんにちは、物語の知恵袋のふくろうです。
『グリーンマイル』を観ていると、最初は「死刑囚棟を舞台にした重い映画なのかな」と思うかもしれません。ところが物語が進むにつれて、不思議な力を持つジョン・コーフィ、残酷な看守パーシー、ネズミのミスター・ジングルスなどが関わり、単純な刑務所映画では終わらない物語になっていきます。
私が改めて映画と原作小説を見比べて感じるのは、映画版は原作の物語を大きく作り変えた作品ではないということです。舞台となる年代や一部の人物、細かなエピソードには違いがありますが、ポールとジョンの出会いから悲しい結末まで、中心となる流れはかなり近いんですよ。
この記事では、映画『グリーンマイル』がどんな話なのかを簡単に確認したあと、ネタバレを含めて物語を最初から最後まで時系列で追い、原作小説との違いまで紹介します。
なお、『グリーンマイル』のジョンの正体や能力、真犯人、ラストの意味についてはこちらの記事で考察してますので良かったらどうぞ
https://wittale.com/2026/09/15/green-mile-analysis/
この記事でわかること
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『グリーンマイル』の簡単なあらすじ
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映画の物語と結末までの流れ
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スティーヴン・キングの原作小説の内容
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映画版と原作小説の主な違い
ここから先は映画と原作の結末に触れます。まだ作品を観ておらず、展開を知らずに楽しみたい方は注意してください。
グリーンマイルはどんな話?

まずは細かなネタバレに入る前に、『グリーンマイル』がどんな話なのかを簡単に確認しておきましょう。長い作品なので、最初に物語の軸をつかんでおくと、その後のあらすじもかなり追いやすくなります。
あらすじを簡単に紹介
『グリーンマイル』は、死刑囚棟で看守主任を務めるポール・エッジコムと、殺人罪によって死刑を宣告されたジョン・コーフィの出会いを中心に描く物語です。
ジョンは幼い双子の少女を殺害した罪で刑務所へ送られてきます。ところが、巨大な体から想像するような恐ろしい男ではありません。むしろ物静かで、暗闇を怖がり、人の苦しみに敏感な人物でした。
やがてポールは、ジョンが人の病気や傷に関わる常識では説明できない力を持っていることを知ります。
その一方、死刑囚棟では傲慢な若手看守パーシー・ウェットモアが問題を起こし、新たに収監されたワイルド・ビル・ウォートンも周囲を翻弄します。
そしてポールは、ジョンに下された死刑判決に重大な疑問を抱くようになるのでした。
かなり簡単に言うと、無実かもしれない死刑囚と、その事実を知ってしまった看守たちの物語です。ただし、普通の冤罪ものとは違い、ジョンが持つ不思議な力が物語の大きな鍵になります。
原作はスティーヴンキングの小説
映画『グリーンマイル』の原作を書いたのは、スティーヴン・キングです。
キングというとホラー小説の印象があるかもしれませんが、『グリーンマイル』では恐怖だけではなく、人間の優しさや残酷さ、死を前にした人間の姿が描かれています。
原作は1996年に発表され、最初から一冊の長編小説として刊行されたわけではありません。もともとは全6部からなる連載形式の小説で、一定期間ごとに物語の続きを読ませる形で出版されました。
その後、一冊にまとめられた完全版も刊行されています。日本でも文庫など複数の形で読まれてきたため、「グリーンマイルの本は何冊あるの?」と戸惑う方がいるかもしれません。
つまり原作そのものは一つの物語ですが、最初の出版形式が分冊だったということですね。
映画は原作にかなり忠実
小説を映画化すると、登場人物が大幅に変わったり、ラストそのものが変更されたりすることがあります。
しかし『グリーンマイル』の場合、ジョンが死刑囚棟へやって来るところから、ポールが彼の秘密を知り、最後の死刑執行を迎えるまでの大きな流れは原作と共通しています。
もちろん完全に同じではありません。小説には映画では描かれない人物や出来事があり、逆に映画では映像として分かりやすくするために場面がまとめられています。
そのため、映画を観てから小説を読んでも「知っている話をもう一度読むだけ」にはなりません。映画では短く描かれた人物の心情や背景を、小説ではもっとじっくり味わえます。
映画のあらすじをネタバレ解説

ここからは映画『グリーンマイル』のストーリーを、結末まで順番に振り返っていきます。登場人物が多い作品なので、「誰が何をしたのか」を意識すると話が分かりやすいですよ。
老人ポールが過去を思い出す
物語は1999年の老人ホームから始まります。
高齢になったポール・エッジコムは、施設で暮らしながら静かな日々を送っていました。あるときテレビで古い映画を目にしたことをきっかけに、遠い昔の出来事がよみがえります。
それは、ポールが刑務所で死刑囚を監督していた時代の記憶でした。
ポールは友人のエレインに対して、自分が経験した忘れられない出来事を語り始めます。
こうして物語は1935年へと移ります。
1935年の死刑囚棟
1935年、ポールはコールド・マウンテン刑務所のEブロックで主任看守を務めていました。
Eブロックには死刑判決を受けた囚人たちが収容されています。
彼らが独房から電気椅子のある処刑室まで向かう通路には緑色の床が敷かれており、看守たちはその道を「グリーン・マイル」と呼んでいました。
ポールの周囲には、信頼できるブルータス・“ブルータル”・ハウエルをはじめとする看守たちがいます。
一方で職場には大きな問題もありました。それが若い看守パーシー・ウェットモアです。
パーシーは有力者とのつながりを後ろ盾にしており、囚人に対して必要以上に威圧的な態度を取ります。ポールたちも彼の性格を嫌っていましたが、簡単には辞めさせられません。
ジョンコーフィが収監される
そんなEブロックへ、新たな死刑囚が連れて来られます。
ジョン・コーフィという黒人男性でした。
ジョンは非常に大柄で、初めて姿を見れば思わず身構えてしまうほどです。
彼は幼い双子の少女を襲って殺害した罪に問われ、死刑判決を受けていました。
しかし実際に接したポールは違和感を覚えます。
ジョンは凶暴どころか驚くほど穏やかでした。受け答えも素直で、暗闇を怖がるほど繊細です。
もちろん、性格がおとなしいから無実とは限りません。それでもポールの中には「この男が本当にあの事件を起こしたのだろうか」という小さな疑問が残ります。
ミスタージングルスが現れる
Eブロックにはエデュアール・“デル”・ドラクロアという死刑囚もいました。
ある日、その周辺に一匹のネズミが現れます。
ネズミは驚くほど賢く、デルになつくようになりました。デルはネズミを「ミスター・ジングルス」と名付け、簡単な芸まで教えるようになります。
死刑囚棟という重い場所の中で、ミスター・ジングルスは不思議な明るさをもたらす存在になっていきました。
ところがパーシーは、デルやジングルスに対して執拗な嫌がらせを続けます。
この小さなネズミを巡る出来事が、やがてポールたちにジョンの秘密を確信させるきっかけになります。
ジョンがポールを救う
当時のポールは、ひどい尿路の病気に苦しめられていました。
あるときジョンはポールを牢の近くへ呼び寄せます。
そして突然ポールの体に触れると、苦しみの原因となっていた『異常』を自分の体へ吸い込ませてまるで引き受けるかのような行動を見せました。
その直後、長くポールを苦しめていた症状が消えてしまいます。
医学的には説明しにくい出来事でした。
さらにパーシーによって瀕死の状態にされたミスター・ジングルスまで、ジョンの手によって助かります。
ポールはここで、ジョンには普通の人間にはない何かがあると確信するのでした。
◆ふくろうのワンポイント
この記事ではジョンの力が何を意味するのかまでは深掘りしません。あらすじを理解するうえでは、「人の病気や傷に関わる奇跡を起こすことができる人物」と押さえておけば十分です。
詳しい考察は別の記事で解説します。
デルの死刑執行で悲劇が起きる
やがてデルの死刑執行の日が訪れます。
電気椅子による死刑では、電気を効率よく通すため濡らしたスポンジが必要でした。
しかし執行を任されたパーシーは、デルへの恨みからこのスポンジを故意に外します。
その結果、デルはすぐには死亡できず、電気椅子の上で激しい苦痛を味わうことになりました。
処刑室は凄惨な状況になり、ポールたちは何とか執行を終わらせます。
見物していた人々にも大きな衝撃を与える最悪の死刑執行でした。
パーシーの行動に、ポールたちの怒りは限界へ達します。
死刑囚だから何をしてもいいわけではない。ポールたちが守ってきた最低限の尊厳さえ、パーシーは踏みにじったのです。
ワイルドビルが混乱を招く
Eブロックにはもう一人、非常に危険な死刑囚が収監されます。
ウィリアム・“ワイルド・ビル”・ウォートンです。
ビルはジョンとは正反対の人物でした。
看守をからかい、暴力を振るい、相手が嫌がることを楽しむような態度を繰り返します。
移送直後から看守たちを翻弄し、Eブロックの空気はさらに不安定になりました。
そして後になって、このワイルド・ビルがジョンの運命と深く関係していたことが分かります。
所長の妻メリンダを救う
そのころ刑務所長ハル・ムーアズの妻メリンダは、重い脳腫瘍に苦しんでいました。
ポールはジョンが自分やミスター・ジングルスに起こしたことを思い出します。
「もしかするとジョンならメリンダを救えるのではないか」
しかしジョンは死刑囚です。勝手に刑務所の外へ連れ出せば、ポールたちの人生も終わりかねません。
それでも彼らは決断します。
ワイルド・ビルをおとなしくさせ、パーシーを一時的に閉じ込めたうえで、ジョンをひそかに刑務所から連れ出しました。
ジョンはムーアズ所長の家へ向かい、苦しむメリンダと対面します。
そしてポールを治したように、彼女の病を自分の体へ取り込むようにして救うのでした。
メリンダは劇的に回復します。
しかし病を引き受けたジョンは、これまで以上に苦しそうな状態になってしまいます。
パーシーがワイルドビルを射殺
刑務所へ戻ったジョンは、パーシーを自分の前へ呼び寄せます。
そしてメリンダから取り込んでいた「異常」なものを、今度はパーシーへ移します。
パーシーは突然、自分の意思を失ったような状態になります。
そのまま銃を取り出し、独房にいたワイルド・ビルを射殺してしまいました。
その後のパーシーはまともに会話できる状態ではなくなり、精神医療施設へ送られます。
結果として、Eブロックを苦しめ続けたパーシーとワイルド・ビルの二人は、ほぼ同時に刑務所から姿を消すことになりました。
ジョンの冤罪をポールが知る
ワイルド・ビルが死んだあと、ジョンはポールに重要なことを伝えます。
少女たちが殺された事件に関する記憶です。
ポールはジョンを通じて、事件について自分たちが知らなかった事実を理解します。
ジョンは少女たちを殺した犯人ではありませんでした。
発見されたとき、ジョンは少女たちの遺体を抱えていました。その姿だけを見れば犯人と思われても不思議ではありません。
しかしジョンが少女たちを抱いていたのは、彼女たちを助けようとしていたからでした。
ポールにとっては耐え難い事実です。
これまで多くの死刑囚を処刑室へ送り出してきた彼が、今度は無実だと分かっている男を自分の手で電気椅子へ送らなければならなくなったからです。
ただし、この真相を知った経緯は法廷へ提出できるような証拠ではありません。
死刑執行の日は刻々と近づいてきます。
ポールは逃亡まで考える
ポールはジョンを救う方法を考えます。
刑務所から逃がすことまで頭をよぎります。
無実の人間を処刑するくらいなら、規則を破ってでも助けた方がいいのではないか。
しかしジョン自身は、それを望みませんでした。
ジョンは人々が互いを傷つけ、苦しませる世界に疲れ切っていました。自分の周囲だけではなく、さまざまな人間の痛みを受け止め続けることに耐えられなくなっていたのです。
そのためジョンは、逃亡するより死刑を受け入れる道を選びます。
ポールにできることは、ジョンの最後の希望をできる限りかなえることだけになってしまいました。
ジョンが初めて映画を見る
死を前にしたジョンには、ささやかな願いがありました。
映画を見てみたいというものです。
そこでポールたちは、ジョンに映画『トップ・ハット』を見せます。
スクリーンの中で歌い踊る世界を、ジョンは子どものような表情で見つめました。
これまでの人生で苦しみばかりを受け取ってきたジョンにとって、ほんのわずかな幸福の時間だったのかもしれません。
そして処刑の日がやって来ます。
ジョンコーフィの死刑が執行される
ジョンは独房を出て、電気椅子へ続く通路を歩きます。
処刑室では、通常であれば死刑囚の顔に布をかぶせます。
しかし暗闇を怖がるジョンは、それを望みません。
ポールたちはその願いを受け入れます。
ジョンが無実であることを知りながら、法律上の判決に従って死刑を執行しなければならないポールたち。
ジョンは電気椅子に座らされ、やがて刑が執行されます。
ポールやブルータルたちは涙をこらえることができませんでした。
こうしてジョン・コーフィの人生は終わります。
ポールとブルータルにとって、これが死刑囚棟で立ち会う最後の処刑になりました。
ここで重要なのは、ジョンの死によって事件がすっきり解決するわけではない点です。ポールは真相を知ったからこそ、むしろその後も自分の選択を背負って生きることになります。
最後は1999年へ戻る
物語は再び老人ホームの現在へ戻ります。
ポールはエレインに、ジョンとの出来事を語り終えます。
しかし驚くべき話はまだ残っていました。
1935年にジョンと出会ったポールは、1999年になっても生きています。
しかも、かつてジョンが救ったミスター・ジングルスまで異常なほど長生きしていました。
ポール自身は108歳。
妻や友人など、大切な人たちは次々と先に亡くなっています。
自分だけが長い時間を生き続けているポールは、それを単純な幸運だとは思っていません。
ジョンを死刑へ送り出した自分に与えられた、とても長い時間。
映画は、年老いたポールがこれからも生き続けることを示しながら幕を閉じます。
原作小説のあらすじと特徴

映画を最後まで知ったところで、次はスティーヴン・キングの原作小説を見ていきましょう。映画版はかなり忠実ですが、小説ならではの読み応えがあります。
原作は全6部で発表された
『グリーンマイル』の原作は1996年に発表されました。
特徴的なのが、最初から一冊の完成した長編として発売されたのではなく、全6部の連作形式で順番に刊行されたことです。
読者は次の巻が発売されるまで続きを待つことになります。
現在の連続ドラマを一話ずつ追いかける感覚に近いですね。
その後、6部をまとめた完全版も出版されました。
そのため「グリーンマイルの原作は何冊?」という疑問については、作品そのものは一つの長編ですが、最初は6分冊だったと考えると分かりやすいでしょう。
原作の舞台は1932年
映画版では死刑囚棟での出来事が1935年に設定されています。
一方、原作小説の中心となる出来事は1932年です。
これは映画と原作を比較するときに分かりやすい違いの一つ。
ただし、年代が3年変わっているからといって、ポールとジョンの関係や事件の結末が別の物語になっているわけではありません。
ジョンが収監され、ポールが彼の不思議な力を知り、少女たちの事件を巡る事実へ近づいていくという中心部分は共通しています。
原作もジョンの結末は同じ
「原作ではジョンが助かるのでは?」と気になる方もいるかもしれません。
しかし、映画だけが悲しい結末へ変更したわけではありません。
原作でもジョンは自分の死を受け入れ、ポールたちによって死刑が執行されます。
無実だと理解しながら死刑を止められないポールの苦悩も、原作の重要な部分です。
つまり映画版は、原作の結末を観客向けに別物へ変更した作品ではありません。
物語の出発点と到着点を大切にしながら、長い小説を一本の映画として見せられる形へまとめた作品だと考えると分かりやすいでしょう。
小説では心理描写がより詳しい
映画では俳優の表情や声、映像によって人物の気持ちを伝えられます。
一方、小説ではポール自身の言葉によって出来事が語られるため、彼が何を考え、何を恐れ、ジョンに対してどのように気持ちを変化させていったのかをより細かく追えます。
ジョンを救いたいという気持ちと、自分が看守として背負っている責任。
死刑制度の中で働いてきた自分が、初めて「この処刑だけはしてはいけないのではないか」と考えてしまう苦しさ。
こうした部分は文章だからこそ時間をかけて描けます。
映画を観てポールの気持ちが気になった人ほど、原作を読む価値があると思います。
映画と原作の違いを比較

ここからは『グリーンマイル』の映画版と原作小説で何が違うのかをまとめます。大筋はかなり近いので、違いは「別の物語になった」というより、映画化に合わせた変更と考えた方がしっくりきます。
| 比較項目 | 原作小説 | 映画版 |
|---|---|---|
| 死刑囚棟の年代 | 1932年 | 1935年 |
| 出版・構成 | 全6部の連作として刊行 | 一本の映画として構成 |
| 老年期のポール | 手記を書く形式が中心 | エレインへ過去を語る |
| 人物描写 | 背景や心理を詳しく描写 | 主要人物へ焦点を絞る |
| 細かなエピソード | 映画未登場の場面も多い | 上映時間に合わせて省略 |
| ジョンの運命 | 死刑を受け入れる | 原作と同じ |
| ミスター・ジングルス | 長寿の末に死ぬ | 1999年にも生きている |
| 物語の核心 | ポールとジョンの交流 | 原作の核心をほぼ継承 |
舞台年代が1932年から1935年へ
もっとも分かりやすい変更点が年代です。
原作では1932年に起きた出来事として描かれていますが、映画では1935年へ変更されました。
映画の終盤でジョンが観る『トップ・ハット』は1935年公開の映画なので、映画版の年代設定とも自然につながっています。
とはいえ、この3年間の変更によってストーリーの内容が大きく変わるわけではありません。
世界恐慌期のアメリカ南部という背景や死刑囚棟の閉ざされた雰囲気は維持されています。
現在パートの見せ方が違う
原作も映画も、年老いたポールが過去を振り返る構成になっています。
ただし、その見せ方は異なります。
原作ではポールが老人ホームで過去を手記として書き残していく要素がより大きく、老年期の日常も映画より詳しく描かれます。
一方の映画では、老人ホームで暮らすポールが友人エレインに1935年の出来事を語る形にしています。
この変更によって、長い小説の回想形式を観客がすぐ理解できるようになりました。
映画の冒頭と最後に現在のポールを配置することで、「これは昔の刑務所だけの話ではなく、何十年もポールの人生に残り続けた出来事なのだ」と伝わりやすくなっています。
小説のエピソードが省略される
原作には映画では扱いきれなかった出来事があります。
これは映画化作品では避けにくい変更です。
小説なら登場人物を増やし、それぞれの過去や刑務所内での出来事を何ページも使って描けます。
しかし映画で同じことをすれば、ポールとジョンの関係から観客の意識が離れてしまいます。
そこで映画版では、パーシーの残酷さ、デルとミスター・ジングルス、ワイルド・ビル、メリンダの病気など、最終的な展開に直接つながる出来事が中心になりました。
原作を読んだあと映画を見ると、「ここを削ったから映画の流れが速くなったのか」と気づくところもあります。
人物の背景も原作の方が詳しい
映画版でも登場人物の個性は十分に伝わってきます。
それでも小説と比べると、一人ひとりに割ける時間には限界があります。
原作では看守たちの日常や老人ホームで暮らすポールの生活など、物語の本筋以外にも文章を使えます。
そのため、パーシーがなぜこれほど周囲から嫌われているのか、ポールが看守としてどのような考えを持っているのかといった部分も、映画以上にじっくり読み取れます。
映画は人物を単純にしたというより、ポール、ジョン、パーシー、デル、ワイルド・ビルという主要人物へ観客の意識が向きやすい形にしたと見る方が近いでしょう。
ジングルスの結末が違う
映画と原作の結末付近で分かりやすく異なるのが、ミスター・ジングルスです。
映画では1999年になってもミスター・ジングルスが生きていることが明らかになります。
ジョンによって命を救われたネズミが数十年後も生きていることで、ポール自身の異常な長寿にもジョンが関係していることが伝わります。
一方、原作ではミスター・ジングルスも非常に長く生きますが、最終的にはその死まで描かれます。
映画は「まだ生きている」という驚きでジョンの奇跡を印象づけ、原作は長い時間の先にある別れまで描いているわけです。
小さな違いですが、作品を見終えたときの余韻にはかなり影響する部分だと思います。
ポールの老後は原作の方が詳しい
映画でも、ポールが妻や大切な人々を先に見送ってきたことが分かります。
ただし、原作では老年期のポールについてさらに多くの出来事が描かれています。
ジョンの処刑が終わればポールの物語も終わり、とはならないんですね。
むしろジョンを死刑へ送り出したあとに続く人生そのものが、ポールにとって長い後日談になります。
映画ではこの部分を短くまとめることで、108歳のポールとミスター・ジングルスを見せた瞬間に観客が事情を理解できる構成にしました。
中心となる結末は変えていない
ここまで違いを見てきましたが、最も大切なのは「変わっていないところ」かもしれません。
ジョンが少女殺害の罪で死刑囚になること。
ポールがジョンの不思議な一面を知ること。
所長の妻を助けるため、看守たちがジョンを刑務所の外へ連れ出すこと。
ポールがジョンの無実を知ること。
それでもジョン自身が死を受け入れること。
そしてポールがジョンの処刑を生涯背負っていくこと。
こうした物語の柱は映画にも残っています。
◆ふくろうのワンポイント
原作付き映画では「違い」にばかり目が向きがちですが、『グリーンマイル』の場合は何を変えなかったのかを見ると映画化の特徴が分かりやすいです。結末まで残したうえで、映画として見やすくなる部分を削ったりまとめたりしています。
原作と映画はどちらがおすすめ?

映画と小説では同じ物語を扱っていますが、得られる体験はかなり違います。どちらから触れるべきか迷っている方に向けて、それぞれの魅力をまとめます。
初めてなら映画からでも楽しめる
初めて『グリーンマイル』に触れるなら、映画から観ても問題ありません。
主要な人物や物語の流れが分かりやすく、ジョンとポールの関係も映像によって直感的に理解できます。
トム・ハンクス演じるポールの戸惑いや苦悩、マイケル・クラーク・ダンカン演じるジョンの穏やかな表情は、文章とは違った形で感情を伝えてくれます。
また、死刑囚棟の静かな空気、電気椅子の異様な緊張感、ミスター・ジングルスが動き回る姿なども映画ならでは。
長い映画ではありますが、物語を最初から最後まで一度に把握したい人には向いています。
原作は人物を深く知りたい人向け
映画を観て「ポールはあのとき何を考えていたんだろう」「映画では描かれなかった出来事も知りたい」と思ったなら、原作がおすすめです。
小説では、映画よりも時間をかけて人物の心情や日常を追えます。
特にポールは物語の語り手でもあるため、自分が経験した出来事をどう受け止めているのかが細かく伝わってきます。
映画では一瞬の表情で表現されていた迷いを、原作では言葉として受け取れるのが面白いところ。
映画で物語を知り、原作で人物の内側へ入っていくという順番も楽しみやすいと思います。
原作から映画を見るのも面白い
もちろん原作を先に読んでも楽しめます。
その場合は、「この長い場面を映画ではどうまとめるのだろう」「この人物は誰が演じるのだろう」と比較しながら観られます。
映画化の際に削られた場面が分かるので、フランク・ダラボンが何を物語の中心に置いたのかも見えてきます。
原作をそのまま映像へ置き換えるのではなく、映画として成立させるために必要な部分を選んでいることが分かるでしょう。
あらすじと原作の違いの要点
映画版と原作小説を比較してみると、意外なほど物語の中心部分が共通していることが分かります。ここでは、作品を振り返るときに覚えておきたいポイントをまとめます。
映画は物語の骨格を守っている
『グリーンマイル』の映画版は、原作の設定だけを借りて別の物語を作った作品ではありません。
ポールとジョンの出会いから、ミスター・ジングルス、デルの処刑、メリンダの救済、ジョンの冤罪判明、そして死刑執行まで、主要な流れを引き継いでいます。
だからこそ、映画を観てから原作を読んでも「映画の結末は原作とまったく違った」という驚きではなく、同じ出来事が小説ではどのように語られているのかを楽しめます。
変更点は映画向けの調整が中心
映画版で目立つ変更は、1932年から1935年への年代変更、現在パートの見せ方、人物やエピソードの省略、ミスター・ジングルスの最終的な描写などです。
どれもジョンの運命を逆転させるような変更ではありません。
長い連作小説を限られた上映時間へ収め、観客が主要人物を追いやすくするための変更が中心です。
そのため、原作ファンにとっても比較的受け入れやすい映画化だったのではないかと思います。
グリーンマイルのよくある質問
最後に、『グリーンマイル』のあらすじや原作について気になりやすい疑問を簡単にまとめます。
グリーンマイルに関するよくある質問(FAQ)
Q1. グリーンマイルはどんな話ですか?
A. 死刑囚棟で働く看守ポールと、少女殺害の罪で死刑判決を受けたジョン・コーフィの出会いを描く物語です。ジョンには普通では説明できない一面があり、ポールは次第に彼が本当に殺人犯なのか疑問を抱くようになります。
Q2. 映画と原作で結末は違いますか?
A. 大きな結末は共通しています。原作でもジョンは死刑を受け入れ、ポールはその出来事を生涯背負うことになります。ただし、老年期のポールやミスター・ジングルスについては描写に違いがあります。
Q3. グリーンマイルの原作者は誰ですか?
A. 原作者はスティーヴン・キングです。原作小説は1996年に全6部の連作形式で刊行され、その後、一冊にまとめた版も出版されています。
Q4. 原作と映画の年代が違うのは本当ですか?
A. はい。原作で死刑囚棟の出来事が起こるのは1932年ですが、映画版では1935年へ変更されています。ただし、年代変更によって物語の中心となる出来事やジョンの結末が大きく変えられたわけではありません。
Q5. 映画を観たあとでも原作を読む価値はありますか?
A. あります。結末を知っていても、原作ではポールの心理や老人ホームでの生活、映画で省略された出来事などをより詳しく読めます。映画で物語を知ってから原作で人物の内面を追う読み方もおすすめです。
グリーンマイルのあらすじまとめ
『グリーンマイル』の映画版は、スティーヴン・キングの原作をかなり大切にしながら映像化された作品です。
- 映画は1935年の死刑囚棟を舞台にしている
- ジョン・コーフィは少女殺害の罪で死刑判決を受ける
- ポールはジョンと接するうちに重大な事実を知る
- ジョンは逃亡せず自ら死を受け入れる
- ポールはジョンの処刑後も非常に長い人生を送る
- 原作はスティーヴン・キングが1996年に発表した小説
- 原作は当初6部に分けて刊行された
- 原作の死刑囚棟の年代は1932年
- 映画と原作で主要な物語と結末はほぼ共通している
- 人物や一部エピソードは映画向けに省略されている
- ミスター・ジングルスの最終的な描写には違いがある
私が映画と原作を比べて特に印象に残るのは、映画が原作を単純に短くしたのではなく、ポールとジョンの物語へ焦点を合わせているところです。
原作は登場人物の心理や背景を時間をかけて読める一方、映画はトム・ハンクスやマイケル・クラーク・ダンカンの演技によって、一瞬の表情だけでも感情が伝わってきます。
どちらか一方が完成版というより、小説と映画それぞれの方法で同じ悲劇を描いている作品と言った方が近いでしょう。
映画を観て物語に心を動かされたなら、ぜひ原作も読んでみてください。同じ結末を知っているはずなのに、ポールが歩んだ長い時間の重さを、映画とはまた違った形で感じられると思います。