
こんにちは、物語の知恵袋のふくろうです。
『スマイル2』を見終わって、私が真っ先に考えたのは「結局、どこまで現実だったんだ?」ということでした。ルイスの死から始まったスカイの悪夢は、途中から幻覚と現実がほとんど見分けられなくなり、ジェマとの再会や母親エリザベスの死、さらにはモリスと実行したはずの計画までひっくり返されます。
最近見たホラー映画の中でも、ここまで主人公一人の視点に絞って、少しずつ現実感を奪っていく作品はかなり印象に残りました。展開の遅さを感じるところはあるものの、スカイと一緒に観客まで現実を信用できなくしていく構成は本作最大の面白さだと思います。
この記事では映画『スマイル2』のあらすじと結末をネタバレ込みで追いながら、モリスは本物だったのか、ジェマはいつから幻覚だったのか、ジョエルはなぜ死んだのか、そしてラストで観客全員に呪いが広がったのかまで考えていきます。
この記事でわかること
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『スマイル2』のあらすじと結末
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どこから幻覚だったのかという考察
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モリス・ジョエル・ジェマの役割
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ラストの観客に呪いが移った可能性
ここから先は映画『スマイル2』のラストまで完全にネタバレしています。未鑑賞の方はご注意ください。
スマイル2の作品情報と前提
まずは映画『スマイル2』の基本情報と、物語を理解するうえで欠かせない「笑顔の呪い」の仕組みを確認しておきます。前作を見ていなくても大筋は追えますが、冒頭のジョエルが何をしているのかは前作を知っていた方が分かりやすいです。
作品情報と主要キャスト
| 作品名 | スマイル2 |
|---|---|
| 原題 | Smile 2 |
| 製作年 | 2024年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 上映時間 | 127分 |
| 監督・脚本 | パーカー・フィン |
| 主演 | ナオミ・スコット |
| ジャンル | ホラー・スリラー |
主人公スカイ・ライリーを演じるのはナオミ・スコット。母親兼マネージャーのエリザベスをローズマリー・デウィット、前作から続投するジョエルをカイル・ガルナー、ルイスをルーカス・ゲイジ、スカイの亡くなった恋人ポールをレイ・ニコルソンが演じています。
さらに物語の謎を握るモリスと、スカイの親友ジェマが登場します。この二人は単なる脇役ではなく、「現実と幻覚をどう区別するか」という本作の仕掛けそのものに関わる人物です。
前作から続く笑顔の呪い
『スマイル』シリーズの怪異は、呪われた人物を精神的に追い詰め、最終的に別の人間が見ている前で自殺させます。そして、その死を目撃した人間が次の宿主になるという連鎖を繰り返してきました。
一方、前作では別の伝播方法も判明しています。宿主が誰かを殺し、その殺人を第三者に目撃させれば、呪いをその目撃者へ移せる可能性があるのです。
ただし、この方法には当然ながら大きな代償があります。自分が助かるためには別の人間を犠牲にしなければならない。『スマイル2』冒頭のジョエルは、まさにその選択を実行しようとしていました。
呪いの基本
宿主が凄惨な死を遂げ、その瞬間を見た人へ怪異が移るのが基本です。ただし殺人を第三者に見せることで伝播させる方法も示されています。
スマイル2のあらすじをネタバレ

ここからは『スマイル2』のストーリーを時系列に沿って追っていきます。特に後半は幻覚が混ざるため、まずはスカイ本人が体験した順番で確認し、そのあとで何が現実だったのかを考えます。
ジョエルからルイスへ
物語は前作『スマイル』の直後から始まります。ローズ・コッターの死を目撃してしまったジョエルは、すでに笑顔のエンティティに狙われていました。
ジョエルは自分が残された時間を理解しており、犯罪者を殺害して、その光景を別の犯罪者に見せることで呪いを移そうとします。しかし計画は想定通りには進みません。
現場は銃撃を含む混乱状態となり、そこに偶然居合わせたルイス・フレゴリが殺人を目撃します。結果として呪いはルイスへ移ったと考えられます。
ジョエル自身は怪異から解放された可能性があるものの、直後に道路へ飛び出し、車にはねられて死亡。前作から続いたジョエルの物語は、あまりにも突然終わります。
スカイが呪いを受ける
主人公のスカイ・ライリーは世界的な人気を持つポップスターです。しかし華やかな姿とは裏腹に、過去には薬物依存があり、さらに恋人ポールを交通事故で失っています。
事故ではスカイ自身も大きな怪我を負っており、復帰後も痛みに悩まされていました。そこで鎮痛薬を手に入れるために訪ねたのが、昔からの知人ルイスです。
ところが、すでにルイスはエンティティに追い詰められていました。スカイの目の前で異常な言動を見せたあと、不気味な笑みを浮かべ、バーベルのプレートを使って自らの頭部に致命傷を負わせます。
この死を目撃したことで、スカイが新たな宿主になります。
しかし部屋には違法薬物があり、自分自身にも薬物依存の過去があるため、スカイは警察への通報を避けてその場から逃げてしまいました。周囲にルイスの死を話せなかったことも、その後の孤立へつながっていきます。
スカイを襲う異変
ルイスの死を目撃してから、スカイの日常には少しずつ奇妙な出来事が入り込んできます。
死んだはずの人物が見える。知らない人が不自然な笑顔を向けてくる。誰もいない場所から声が聞こえる。ほんの一瞬だけ現実がおかしくなるような体験が積み重なっていくわけです。
ここが本作の怖いところで、最初から巨大な怪物が襲ってくるわけではありません。「今のは疲れていただけかもしれない」と説明できる程度の異変から始まり、徐々に逃げ道がなくなっていきます。
しかもスカイには薬物依存の過去があります。そのため周囲へ異変を訴えれば訴えるほど、「再び薬物を使っているのではないか」「精神的に不安定になっているのではないか」と疑われかねません。
ジェマとの再会と異変
孤立していくスカイが頼ったのが、以前は親友だったジェマです。二人は過去に大きな衝突があり、しばらく連絡を取っていませんでした。
スカイはジェマへ連絡し、やがて二人は再会。ジェマはスカイのそばに泊まり、精神的な支えになってくれます。
この展開だけを見れば、恐怖に追い詰められていく主人公に唯一の味方が戻ってきたように感じます。しかし後から考えると、この安心こそエンティティが仕掛けた最も残酷な罠でした。
モリスが語る脱出法
そんなスカイのもとに、知らない番号から連絡が入ります。相手はルイスの部屋にスカイがいたことを知っており、彼女が危険な状態にあると伝えてきました。
指定されたバーで待っていたのがモリスです。
モリスは救急医療に携わる看護師で、自分の兄も同じ怪異の犠牲になったと説明します。その後、犠牲者の連鎖を追い続けており、ルイスからスカイへ呪いが移ったことまで突き止めていました。
そしてモリスが提案したのが、スカイの心臓を一度停止させたあと蘇生する方法です。
エンティティが宿主へ寄生しているなら、宿主が医学的に死亡した瞬間に怪異も死ぬ可能性がある。しかも周囲に目撃者がいなければ、別の人間へ移ることもできない。そう考えたわけです。
ただしスカイはその場では決断できません。心臓を止める以上、本当に死亡する危険もあります。さらにバーで自分の存在に気づく人まで現れ、スカイはモリスのもとを離れます。
ダンサー襲撃と完全支配
その後、スカイの部屋へバックダンサーたちに似た集団が現れます。
無言の人々が不自然な笑顔を浮かべながら、集団でスカイへ迫ってくる場面です。人間の身体を使った動きなのに、全体が一つの生き物のように見える演出がかなり気味悪い。
やがてスカイは押さえ込まれ、そのうちの一人が腕を彼女の口へ押し込むような異様な光景が描かれます。
私はここが、エンティティによる支配が一段階深くなった瞬間だと考えています。それまでのスカイは現実の合間に幻覚を見ていましたが、このあとからは逆転し、長い幻覚の中へ現実がわずかに入り込むようになります。
◆ふくろうのワンポイント
このダンサー集団の場面は単なるびっくり演出ではなく、「ここからスカイ自身が現実を確認できなくなった」という境目として見ると、後半がかなり分かりやすくなります。
母親の死と冷凍庫
スカイはその後、療養施設のような場所で目を覚まし、母エリザベスと激しく言い争います。
そこでエリザベスが不気味な笑顔を浮かべ、凄惨な死を遂げる場面が発生。スカイは母親を死なせてしまったと思い込み、施設から逃げ出します。
さらにジェマと車で逃げる途中、本物と思われるジェマから電話がかかってくるという決定的な異変が起こります。
隣にジェマが座っているのに、電話の向こうのジェマは「スカイのところへ行っていない」という態度を取る。これにより、スカイがこれまで一緒に行動していたジェマがエンティティによる偽物だったことが示されます。
追い詰められたスカイは再びモリスを頼り、使われていないピザ店の冷凍庫へ向かいます。
そこで心臓を停止させ、怪異を倒してから蘇生する計画を実行。スカイはエンティティと戦い、自分で薬剤を投与し、ついに怪異を倒したように見えます。
しかし、ここまでが最大の罠でした。
コンサートで迎える結末
スカイが次に目を開けると、そこは冷凍庫ではありません。
復帰ツアーのコンサート会場です。
目の前には大勢の観客。そして、死んだと思っていた母親エリザベスも生きています。
つまり、少なくとも母親の死から冷凍庫でモリスと作戦を行うまでの出来事は、そのまま現実として受け取ることができません。
スカイが自分の意思で逃げ、戦い、怪異を倒そうとしていたつもりの間にも、現実ではコンサートの準備が進み、彼女はステージへ立つところまで来ていたことになります。
そこでエンティティはスカイを完全に支配。彼女は観客の前で異様な笑顔を浮かべ、マイクを自分の顔面へ突き刺して死亡します。
その死を目撃したのは一人ではありません。
会場を埋め尽くす大勢の観客です。
個人から個人へ渡ってきた笑顔の呪いが、一気に別の段階へ進む可能性を残して映画は終了します。
スマイル2はどこから幻覚か

『スマイル2』で最も気になるのが「どの場面から幻覚だったのか」です。ただし、ここは一本の線を引いて「この瞬間から全部偽物」と断定すると、本作の見せ方と合わなくなります。
監督パーカー・フィンも、完全な現実から離れていく特定の瞬間が存在することを示唆していますが、それがどの場面なのかを明言していません。
そのため、映画内でほぼ確定できる幻覚と、解釈が必要な場面を分けるのが一番分かりやすいでしょう。
| 場面 | 現実か幻覚か |
|---|---|
| ルイスの死 | 現実 |
| 初期の怪異 | 現実に幻覚が混在 |
| 再会したジェマ | 幻覚の可能性が極めて高い |
| 最初のモリス | 現実の可能性が高い |
| ダンサー集団 | 幻覚 |
| 母エリザベスの死 | 幻覚 |
| 冷凍庫での計画 | 幻覚の可能性が高い |
| 最後のコンサート | 現実の可能性が非常に高い |
確定している幻覚
最も分かりやすいのは母エリザベスの死です。
スカイは母親が目の前で死亡したと思い込みますが、最後のコンサート会場ではエリザベスが生きています。そのため、少なくともスカイが体験した母親死亡の場面は幻覚です。
また、冷凍庫でエンティティを倒したと思った直後にコンサート会場へ切り替わることから、冷凍庫で行った心臓停止作戦も現実ではなかった可能性が非常に高いでしょう。
ジェマは最初から幻覚
ジェマについては、スカイと再会してから行動をともにしていた人物が偽物だったと考えるのが自然です。
決定的なのは、車で逃走中に本物のジェマから連絡が来る場面。電話のジェマはスカイのもとへ来ていないため、それまで隣にいた「ジェマ」と矛盾します。
つまり、スカイが謝罪し、ジェマが部屋を訪ね、二人で関係を修復した一連の出来事自体が、エンティティによって作られた可能性があります。
これがかなり残酷なんですよね。
怪異は怖い顔でスカイを追いかけるだけではありません。彼女が最も欲しかった「自分を理解してくれる親友」を作って安心させ、その安心を後から壊しています。
ダンサー襲撃が転換点
では、長時間にわたる幻覚へ完全に飲み込まれた境目はどこなのか。
私はダンサー集団に襲われる場面が最も有力だと考えています。
スカイの口へ腕が押し込まれる演出は、単なる身体的恐怖ではなく、怪異がスカイの内側へ入り込んだことを視覚化しているように見えるからです。
それ以前にも幻覚は何度も発生しています。しかしスカイは現実へ戻ることができていました。一方、この場面のあとからは母親の死、逃走、ジェマとの車移動、モリスとの再会、冷凍庫と、長時間にわたる大きな偽の物語が続きます。
だから私は、ルイスの死以降は断続的な幻覚、ダンサー襲撃以降はエンティティの支配がほぼ完成という見方が一番しっくりきます。
ただし、監督自身が具体的な境界を明言していないため、「ダンサー襲撃から全部幻覚だった」と確定事項としてではなく、考察の一つとしてお考え下さい。
モリス前半は現実寄り
モリスについては「そもそも最初から存在していなかったのでは?」という考え方もできます。
ただ、私はバーでスカイと初めて会ったモリスについては、実在していた可能性が高いと思っています。
理由は、彼がスカイの知らない呪いの連鎖をかなり具体的に説明していることです。兄を失った過去や、歴代の被害者を追跡してきた情報まで持っています。
もちろんエンティティならスカイの知らない情報を作って見せることもできるかもしれません。しかし物語上、最初のモリスまで偽物にすると、彼から提示された呪いの情報そのものまで意味がなくなってしまいます。
そのため、モリスという人物は実在し、最初の面会も現実だったと考える方が自然です。
冷凍庫のモリスは幻覚か
一方、終盤に再登場したモリスは事情が違います。
スカイはモリスと冷凍庫へ入り、心臓停止作戦を実行します。しかし次に意識を取り戻した場所はコンサートステージでした。
このつながりを見る限り、少なくとも「冷凍庫でモリスと作戦を実行して成功した」という体験は幻覚です。
したがって、後半のモリス本人もエンティティが作った偽物だった可能性があります。
あるいは実際のモリスへ連絡を取るところまでは現実で、その後の記憶だけ書き換えられた可能性も残ります。映画はここまでを確定させていません。
モリスの正体と計画を考察
モリスは『スマイル2』で、スカイが怪異について説明を受けられる唯一の人物です。同時に、シリーズに新しい攻略方法を持ち込んだ人物でもあります。
モリスは実在したのか
結論として、私はモリス本人は実在する人物だと考えています。
彼は兄を笑顔の呪いで失い、その後の感染経路を追跡していました。ルイスが宿主となり、スカイがルイスの部屋にいたところまで調べて接触してきます。
その動機もはっきりしています。単にスカイを怖がらせるのではなく、自分の兄を奪った存在を止めたい。
エンティティに対抗する側の人物として考えた方が、モリスの存在意義は分かりやすいでしょう。
◆ふくろうのワンポイント
私の場合は「モリスは本物か偽物か」を二択にせず、前半のモリスは本物、後半の冷凍庫は怪異が作った偽の展開と分けて考えています。
心臓停止作戦の仕組み
モリスの考えはシンプルです。
エンティティが人間を宿主として生存しているなら、宿主の生命活動を一度完全に停止させれば、寄生先を失わせられるのではないか。
そのうえで一定時間後にスカイだけを蘇生すれば、怪異のいない状態で戻ってこられる可能性があります。
さらに周囲に目撃者がいない場所を選べば、スカイの死を利用してエンティティが別の人物へ移動することも防げます。
かなり危険な方法ですが、ジョエルのように別の人間を殺して呪いを移す必要がない点が重要です。
作戦は失敗したのか
ここは勘違いしやすいところです。
冷凍庫でスカイが怪異を倒せなかったからといって、モリスの心臓停止作戦そのものが失敗したとは言えません。
なぜなら、本当に作戦を実行したのかどうかさえ怪しいからです。
スカイが薬剤を使って心臓を止めたと思った場面がエンティティの作った幻覚なら、現実のスカイは一度も心臓停止作戦を試していません。
つまり、モリスの方法が有効なのか無効なのかは現在も不明。
この設定が残されたことは、シリーズが続く場合にかなり重要になりそうです。
ジョエルの行動と死亡の意味
ジョエルは冒頭で退場してしまいますが、『スマイル2』全体を理解するうえではかなり重要です。彼の行動によって、呪いの法則と人間側の限界が一気に示されています。
ジョエルが選んだ伝播方法
ジョエルが試したのは、自分が殺人を犯し、その死を第三者へ見せる方法です。
これは前作で判明した呪いの抜け道。宿主自身が自殺へ追い込まれる前に、別のトラウマを目撃者へ与えることでエンティティを押し付けます。
理屈としては生き残れます。
しかし、自分の命を守るために別の人間を殺す必要がある。ジョエルはそれほど追い詰められていたことになります。
ジョエルからルイスへの連鎖
ジョエルの計画は予定通りの相手へ呪いを移すことには失敗しますが、その場にいたルイスが殺人を目撃しました。
そのため結果だけを見ると、ジョエルからルイスへの伝播自体は成立した可能性が高いです。
そしてルイスの死をスカイが目撃する。
ローズ→ジョエル→ルイス→スカイという流れで、前作と『スマイル2』が一本につながります。
さらにラストではスカイの死を大勢が目撃するため、この一直線だった感染経路が一気に枝分かれするかもしれない状況へ変化しました。
ジェマの役割と正体を考察
ジェマは怪異の恐ろしさを示すうえで重要な存在です。エンティティは恐ろしいものだけではなく、スカイが求めているものまで利用できることが分かります。
本物のジェマとの電話
物語後半、スカイはジェマが運転する車で逃げているつもりでした。
ところが電話の向こうから別のジェマの声が聞こえてきます。
本物のジェマはスカイと行動しておらず、二人の関係も修復されていません。
この瞬間、隣にいたジェマは怪異が作った存在だったことが分かります。
それまで観客もスカイと同じようにジェマを普通の人間として見ていたため、物語の前提そのものが崩れる場面になっています。
偽物のジェマが与えた安心
なぜエンティティは、わざわざジェマになりすましたのでしょうか。
私はスカイを一度安心させるためだと思います。
スカイは母親やスタッフに囲まれていても、本心をさらけ出せる相手がほとんどいません。そんな彼女にとってジェマは、スターではない自分を知る数少ない友人でした。
そのジェマが戻ってきたことで、スカイは「自分にはまだ味方がいる」と思えます。
ところが、その希望まで偽物。
恐怖を与え続けるだけでなく、いったん救いを見せてから奪う。これによってスカイは自分の記憶も他人も信用できなくなります。
ポール事故の真相を考察
エンティティがスカイを追い詰めるために最も利用したのが、恋人ポールの死です。事故の真相を知ると、なぜスカイがこれほど怪異につけ込まれたのかが見えてきます。
スカイが抱える罪悪感
物語序盤では、スカイとポールは交通事故に遭い、ポールだけが死亡したように語られます。
しかし回想が進むにつれ、二人は事故直前に激しく言い争っていたことが分かります。
感情的になったスカイの行動が事故につながり、ポールは命を落としました。
つまりスカイが抱えているのは、単なる生存者としての罪悪感ではありません。
「ポールを死なせたのは自分だ」という感覚です。
しかも当時のスカイは薬物依存に陥っていました。現在は復帰を目指していても、過去の自分を完全には許せていないことが伝わってきます。
自分自身が最大の恐怖
だから終盤、スカイ自身の姿をした存在が敵として現れることにも意味があります。
彼女が怖がっているのはポールの死だけではありません。
薬物に依存した自分。友人を傷つけた自分。ポールを死なせた自分。再び同じところへ戻ってしまうかもしれない自分。
エンティティはその自己嫌悪を利用しています。
つまり本作でスカイが最後まで逃げ切れない最大の理由は、怪物が外から追ってくるからではなく、怪物が彼女自身の記憶と感情の中へ入り込んでいるからです。
スマイル2のラストを考察

『スマイル2』のラストは、スカイ一人の悲劇として終わりません。シリーズの呪いの法則そのものを変えてしまう可能性があります。
スカイの死は現実か
最後のコンサートまで幻覚だったのではないか、と考えることもできます。
ただ、私はステージ上の出来事は現実だった可能性が非常に高いと考えています。
理由は、それまでスカイの主観に閉じ込められていた映像が、最後には観客側から見たスカイも描くようになるからです。
スカイには巨大なエンティティが見えています。しかし観客から見れば、ステージ上で突然様子がおかしくなったスカイしか見えません。
そしてスカイは不自然な笑顔を浮かべ、マイクによって自ら致命傷を負い死亡します。
そのため、スカイ・ライリーはラストで死亡したと考えてよいでしょう。
観客全員に感染したのか
問題は、その死を何千、何万という観客が見ていることです。
これまでのシリーズでは基本的に一人の死から一人へ呪いが渡ってきました。
では数万人が同じ死を目撃した場合、全員へ同時に移るのでしょうか。
映画は答えを描いていません。
「コンサートにいた観客全員が確実に感染した」とまでは断定できません。一度の死を複数人が目撃した場合のルールは、本編では明確に説明されていないためです。
ただし映画のラストが、この疑問を意図的に残しているのは間違いないでしょう。
もし全員が感染できるなら、一人の宿主が一人へ渡していた時代とはまるで違います。感染者が各地で別の目撃者を作れば、連鎖は一気に広がっていきます。
だから私はこのラストを、呪いが個人間の連鎖から大量伝播へ進む可能性を見せた結末と受け取っています。
スカイを狙った理由
ここからはさらに一歩踏み込んだ考察です。
スカイがルイスを訪ねたことは、本当にただの偶然だったのでしょうか。
スカイは世界的なスターです。普通の宿主とは違い、一度ステージへ立つだけで何万人という人間から注目されます。
もしエンティティが宿主をある程度選べるのなら、スカイほど都合のいい人物はいません。
彼女をコンサートまで生かし、そこで自殺させれば、一度に膨大な人数へ死を目撃させられます。
映画では「エンティティが最初からスカイを狙っていた」と明言されてはいません。
それでも、ラストから逆算するとスカイという有名人そのものが呪いに利用されたという読み方はかなり面白いと思います。
スマイル2のテーマを考察
怪異のルールや幻覚だけを追っても面白い作品ですが、『スマイル2』は主人公をポップスターにしたことで前作とは少し違うテーマも生まれています。
笑顔を作り続けるスター
スカイはエンティティに感染する前から、自分の本心とは違う笑顔を作り続けていました。
身体が痛くても笑う。精神的に追い詰められてもファンの前では笑う。取材でもイベントでも、求められる「スカイ・ライリー」を演じなければなりません。
本来なら喜びを表すはずの笑顔が、内面を隠す仮面になっています。
そこへ「不自然な笑顔」を象徴とする怪異が入り込む。
この組み合わせはかなり相性がいいです。
見られ続けることの恐怖
スカイはどこへ行っても見られています。
ファンから見られ、スタッフから見られ、母親から見られ、メディアから見られる生活です。
そして人生最後の瞬間まで、大勢の観客から見られています。
ここには有名人の苦しみが娯楽として消費される構図も重なります。
劇中のファンはスカイを見ている。そして私たち映画の観客も、スカイが追い詰められていく姿をホラー映画として見ています。
最後まで「見られる側」から逃げられなかった主人公という点も、本作の後味の悪さにつながっているのではないでしょうか。
スマイル2の感想と評価

ここからは映画を見た私自身の感想です。『スマイル2』はかなり好きな部分がある一方、シリーズものとしては「もっと見たかった」と感じた部分もありました。
ナオミスコットの恐怖演技
本作で特に良かったのは、やはりナオミ・スコットの演技です。
このシリーズは前作から、登場人物が恐怖におののく演技がかなり上手いんですよね。
スカイが「何かがおかしい」と感じ始める段階から、誰も信用できなくなり、最終的に自分の感覚まで信じられなくなるところまで、恐怖の段階がかなり細かく変化しています。
怪物そのものより、スカイの表情を見ているこちらまで不安になる。
ある意味、作品内の呪いとは別の方法で恐怖が観客へ伝染しているように感じました。
スカイ一人に絞った構成
最近の映画はテンポを優先して展開をかなり圧縮する作品もありますが、『スマイル2』はスカイ一人にかなり長い時間を使っています。
復帰へのプレッシャー、薬物依存の過去、ポールへの罪悪感、母親との関係、ジェマとの確執。その全部をスカイの崩壊へつなげていく作りです。
そのため後半になればなるほど、「この人は怪異がいなくてもかなり危うかったんだな」ということが分かってきます。
一方で、かなりスカイに集中するため、途中で少し展開が遅く感じる部分もありました。
もう少し呪いを追っている人物側の話が入っても面白かったかなと思います。
呪い設定の活用には不満
個人的に少し惜しかったのは、シリーズ最大の面白さである「死を目撃した者へ呪いが移る」という設定が、中盤ではあまり活用されなかったところです。
『イット・フォローズ』のように怪異の移動ルールが作品そのものの面白さになる映画や、『ファイナル・デスティネーション』のように逃れられない法則が恐怖を作る作品があります。
『スマイル』シリーズにも「目撃によって死が連鎖する」というかなり面白い仕組みがあります。
だからこそ、前作から続くジョエルや、呪いを追跡しているモリスの話をもう少し見たかったですね。
その代わり『スマイル2』は、感染経路を追う作品ではなく、スカイ自身の認識が壊れていく恐怖へ大きく振っています。
ここをどう受け取るかで評価は分かれそうです。
◆ふくろうのワンポイント
私は最近見たホラー映画の中では、演出とストーリー構成がかなりしっかりしている作品だと感じました。ただラストは、もう少しスカイに怪異と戦わせてほしかった気持ちもあります。完全に手も足も出ず終わるので、そこはかなりモヤモヤしました。
スマイル2の疑問を解決
最後に、『スマイル2』を見たあとに特に疑問として残りやすいポイントをまとめます。幻覚については映画側が意図的に余白を残しているため、確定事項と考察を分けて回答します。
スマイル2のよくある質問
Q1. スマイル2はどこから幻覚だったのですか?
A. ルイスの死以降、現実の中へ断続的な幻覚が入り始めます。長時間の幻覚へ完全に移る境目としては、ダンサー集団に襲われてスカイの口へ腕が入る場面が有力です。ただし監督は具体的な境界を明言していないため、映画本編の確定事項ではありません。
Q2. スマイル2のモリスは本物ですか?
A. モリスという人物自体は実在し、バーで行われた最初の面会も現実だった可能性が高いと考えられます。一方、終盤に冷凍庫で行った心臓停止作戦は幻覚だった可能性が高く、そこで登場したモリスまで本物だったのかは確定していません。
Q3. ジェマは最初から幻覚だったのですか?
A. スカイと再会し、その後一緒に行動していたジェマは幻覚だった可能性が極めて高いです。車内で本物のジェマから電話が入り、それまでスカイのもとへ来ていなかったことが示されるためです。
Q4. スカイはラストで死亡したのですか?
A. はい。最後のコンサートは現実である可能性が非常に高く、エンティティに完全支配されたスカイは大勢の観客の前で自らに致命傷を負わせて死亡したと考えられます。
Q5. コンサートの観客全員に呪いが移ったのですか?
A. 全員への感染はまだ確定していません。一度の死を複数人が目撃した場合に全員へ同時感染できるかは説明されていないからです。ただしラストは、大勢の観客への大量伝播が起こり得ることを意図的に示した結末と考えられます。
スマイル2ネタバレ考察まとめ
『スマイル2』では、ルイスの死を目撃したスカイが笑顔の呪いを受け、現実と幻覚の境界を少しずつ失っていきます。
- ジョエルからルイス、スカイへ呪いが連鎖する
- 再会したジェマは幻覚だった可能性が極めて高い
- 最初のモリスは実在した可能性が高い
- 母エリザベスの死は幻覚
- 冷凍庫での心臓停止作戦も幻覚の可能性が高い
- ダンサー襲撃が完全支配の境目として有力
- スカイは最後のコンサートで死亡する
- 観客全員への感染は確定していない
私が本作で一番怖かったのは、巨大なエンティティの姿そのものではありません。
自分で考えて逃げていると思っていた時間さえ、本当は怪異が作った世界だったこと。
スカイは怪異と戦っているつもりでした。ジェマという味方もいると思っていました。母親を失い、自分で逃げ出し、最後にはモリスと怪異を倒したと思います。
ところが現実に戻った瞬間、彼女は逃げるどころか、エンティティにとって最も都合のいい場所である大観衆の前に立っていました。
この「自分の現実を信用できない」という恐怖こそ、『スマイル2』が前作からさらに踏み込んだ部分だと思います。
そしてスカイの死によって、一人から一人へ続いてきた呪いは大量の目撃者を得ました。
全員へ感染したのか。それとも、その中の誰か一人だけが次の宿主になるのか。
答えはまだ分かりません。
ただ、もし本当に大勢へ同時に呪いを渡せるのなら、次に起こるのは一人の主人公が怪異から逃げる物語では済まないでしょう。
あなたは、スカイが完全に現実から離れたのはどの場面だったと思いますか?