地獄の花園ネタバレ解説｜見どころと強さランキングTOP10

「OLが拳で覇権を争う」――そんな突飛な設定を本気でやりきった異色の邦画『地獄の花園』。主演・永野芽郁をはじめ、広瀬アリス、菜々緒、小池栄子など豪華キャストが集結し、“OLあるある”と“ヤンキー抗争”を融合させた唯一無二の世界観が展開されます。本記事では、ネタバレを含むストーリー解説から、注目の強さランキングTOP10、キャラクターの関係性や演出の魅力まで徹底的に掘り下げ。なぜこの作品がただのコメディに留まらず、観る者の心に“生き様”を刻むのか――その答えに迫ります。

映画『地獄の花園』ネタバレなしで楽しむ！作品のあらすじとみどころを解説

異色OLバトルコメディの基本情報

普通のOLが拳で生きる!?唯一無二のジャンル

『地獄の花園』は、2021年5月21日に公開された邦画コメディで、「OL×ヤンキー×バトル」という突飛なテーマを真正面から描いた異色のエンタメ作品です。
ジャンルとしてはアクション・コメディに分類されますが、一般的なアクション映画とは大きく異なり、OLたちが日常業務をこなしながら、社内の派閥争いを“殴り合い”で解決していくという前代未聞の世界観が特徴です。

製作陣も一流揃いの異色タッグ

監督はMV界の奇才として名高い関和亮（せき かずあき）。Perfumeや星野源の映像作品を手がけた経験を活かし、本作でも独特なカメラワークや色彩センスが光ります。
脚本は、芸人でありながら脚本家としても評価の高いバカリズムが担当。彼が得意とするOLの日常会話や「架空OL日記」にも通じるリアルさと、ぶっ飛んだバトル展開が見事に融合しています。

超豪華キャスト陣も話題に

主演を務めたのは永野芽郁（ながの めい）。彼女は本作で本格アクションに初挑戦しており、これまでの清純派イメージとは一線を画す“喧嘩最強OL”を演じました。
共演者には広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈、大島美幸、小池栄子、遠藤憲一、勝村政信、ファーストサマーウイカなど、バラエティ豊かな顔ぶれが揃っており、ヤンキーOLという無茶な設定に全力で挑んでいます。

興行収入と主題歌も見逃せない

公開時の興行収入は約7億2000万円と、大規模ヒットではないものの、作品のユニークさや口コミ効果により注目を集めました。
また、主題歌はアニメ『鬼滅の刃』でブレイクしたLiSAが担当し、作曲はB'zの松本孝弘という豪華コラボ。「Another Great Day!!」は本作のハードかつポップな世界観と絶妙にマッチしています。

総評：笑ってスカッとできる異端の快作

『地獄の花園』は、一見くだらなく見える設定を本気で演じる俳優陣と、脚本・演出の完成度で一段上のコメディに昇華させた作品です。
現代社会のストレスを吹き飛ばしてくれる“バカ真面目なバカ映画”として、多くの視聴者に強烈なインパクトを残しています。

普通のOLがヤンキー抗争に!?ネタバレ無しであらすじ紹介

三富士株式会社に勤める“普通のOL”が主人公

本作の主人公は、26歳のOL・田中直子（演：永野芽郁）。
彼女は大手企業「三富士株式会社」で働く、ごく普通のOLです。日々、電話応対や備品の補充、同僚との雑談をこなす、何の変哲もない“堅気のOL”ライフを送っています。

社内には「ヤンキーOL」たちの派閥争いが存在!?

ただし、彼女の働く三富士には一つの問題があります。部署ごとに凶暴な“ヤンキーOL”たちが存在し、日々の業務と同じくらい真剣にケンカしているのです。
具体的には、

• 開発部の「悪魔の朱里（演：菜々緒）」
• 営業部の「狂犬の紫織（演：川栄李奈）」
• 製造部の「大怪獣の悦子（演：大島美幸）」

という3大派閥が存在し、会社のトップを懸けた抗争を繰り広げているというカオスな職場です。

そこに現れた最強の新入社員

ある日、社内に新たな中途採用社員としてやってきたのが、北条蘭（演：広瀬アリス）。
一見クールで無口な彼女ですが、実は圧倒的な戦闘力を誇る“カリスマヤンキーOL”。登場早々に派閥リーダーたちを打ち倒し、社内ヒエラルキーの頂点に立ちます。

友情と波乱の始まり

直子は、そんな蘭の意外な人間味に触れ、次第に友情を育んでいきます。
しかしこの友情が、やがて社内に留まらない企業間抗争、そして過去と向き合う展開へと発展していくとは、まだ誰も予想していませんでした。

『地獄の花園』前半では、「OLあるある」と「ヤンキー抗争」という対極の要素が絶妙に絡み合うコメディ演出が際立ちます。
お茶くみの横でタイマンが始まり、コピー機の前で血が飛び交うというシュールな世界。
その中で、直子と蘭の距離感が少しずつ変化していく様子が、物語を自然に引き込んでいきます。

登場人物はクセ強キャラが勢ぞろい

社内外に爆誕する“ヤンキーOL”たち

『地獄の花園』の魅力のひとつは、キャラクターの濃さと多様性にあります。見た目も言動もインパクト大な“ヤンキーOL”たちが、あらゆる企業で拳を交えながら、誇りと居場所をかけて争います。しかも、ただのギャグキャラではなく、それぞれに信念と役割があるのがポイントです。

主人公：田中直子（演：永野芽郁）

本作の中心人物。一見すると普通のOLですが、実は喧嘩の才能を隠し持つ“堅気のOL”。OLあるあるな日常をこよなく愛しながらも、巻き込まれ型で抗争の渦中へ。
見た目は癒し系、中身は地元最強の遺伝子持ちというギャップが最大の武器です。

カリスマ：北条蘭（演：広瀬アリス）

中途採用で現れた伝説のヤンキーOL。言葉数は少なくクールな佇まいですが、社内の勢力を一掃するほどの戦闘力を持ち、周囲からはカリスマ的存在として一目置かれます。
一方で、直子には心を開き、素直な一面を見せるのも魅力的です。

元トップ：安藤朱里（演：菜々緒）

開発部を仕切る“悪魔の朱里”。美しさと凶暴さを併せ持ち、かつて三富士の頂点に君臨していた女帝的存在です。
しかし、蘭に敗れてからは直子らと共闘。外見は派手、内面は冷静で仲間想いというギャップの持ち主。

狂犬：佐竹紫織（演：川栄李奈）

営業部所属の“狂犬”。小柄でにこやかですが、ひとたびブチ切れると誰にも止められない危険人物。整理整頓や備品補充など、仕事熱心な一面もあり、社内では頼れる存在として見られています。

大怪獣：神田悦子（演：大島美幸）

製造部のリーダーで、体格と破壊力は文字通り“大怪獣”。刑務所帰りの経歴を持ち、300戦無敗の戦歴を誇りますが、ファッション誌好きという乙女な趣味とのギャップが愛される理由です。

地上最強：鬼丸麗奈（演：小池栄子）

後半に登場する“ラスボス”的存在。OL界の頂点に君臨する最強の戦士で、笑いながら敵を倒す姿は圧巻。
彼女の登場により、直子と蘭の成長物語が大きく動き出します。

サポート＆敵キャラも超個性派

赤城涼子（遠藤憲一）、トムスン三銃士（勝村政信・松尾諭・丸山智己）といった“色物OL”たちも見逃せません。女装姿ながら完全に役に入り切った演技が話題を呼び、サブキャラであっても画面に出るたび強烈な印象を残します。

バカリズムの脚本が異常設定にリアリティを吹き込む

非現実を日常に落とし込む技術

お笑い芸人・バカリズムが手掛けた脚本は、本作最大の成功要因ともいえるでしょう。
舞台はあくまで「会社」なのに、実際に行われるのはタイマンバトル。しかし、その異常さが浮かずに成立しているのは、バカリズムが得意とする“リアルな日常描写”が根底にあるからです。

「架空OL日記」の延長線にある世界

バカリズムは以前、OLになりきって日常を描いた『架空OL日記』という作品で高評価を得ました。
本作にもその延長線が感じられます。例えば――

• 「最近ジム行ってる？」
• 「行ってないw」

といった、どこにでもありそうな“どうでもいい会話”がバトルの隣で展開される。そのシュールさが、視聴者の笑いを誘います。

意外性とズラしの構成

脚本の秀逸さは、展開の意外性にも現れています。
例えば、強キャラとして登場した蘭が中盤であっさり負ける展開や、修行シーンをラストに持ってくるストーリー構成は、王道の“ズラし”として物語の緩急を生んでいます。

また、「強さとは何か」「OLとは何か」という本質的なテーマを笑いの裏でしっかり提示している点も見逃せません。笑わせつつ、しっかり読後感も残る――バカリズムらしい知性とセンスが光っています。

笑えるけど“地雷映画”にはならなかった理由

こうした会話の妙やテンポ感がなければ、「OLが喧嘩する映画」と聞いただけでスベる可能性も十分にありました。
しかしバカリズムは、荒唐無稽な設定にリアルな地盤をしっかり築くことで、共感と笑いを両立させたのです。

MV演出家の関和亮の映像美の光るセンス

“見慣れた世界”を非日常に変える映像演出

映画『地獄の花園』では、監督・関和亮（せき かずあき）の演出センスが画面全体に満ちています。
関監督は、Perfume・サカナクション・星野源などのMV演出で知られ、これまで映像表現の前衛を走ってきた人物です。彼の持ち味は、日常の風景に独特のユーモアや違和感を溶け込ませる手法にあります。

配色・構図・テンポすべてが“MV的”

本作でもそのスタイルは健在で、オフィスの冷たい蛍光灯や屋上の広さ、コピールームの圧迫感などを極端なアングルや構図で切り取ることで、現実と非現実のあわいを描き出しています。
さらに、ヤンキーOLたちの登場シーンでは極端に引いたロングショットやスローモーション、カメラ回り込みなどMV的演出が多数。そのたびに観客は、「これは映画なのに、どこかライブ感がある」と感じるでしょう。

テンポ感もまた特徴的です。通常の映画よりもシーンの切り替えが小気味よく、テンポが速いことで、バトルが始まる前の緊張感とギャグの間合いが際立ちます。

静と動の使い分けがストーリーを支える

特に注目すべきは、直子と蘭が心を通わせるシーンでは、カメラの動きや編集を極力抑え、“静の画作り”に徹している点です。
派手なケンカシーンとのコントラストが生まれ、キャラクターの心情がよりくっきりと浮かび上がります。

MV監督だからこそできた“遊び心”

MV的な美意識と映画的な感情描写が合体したことで、『地獄の花園』はただのバカ映画では終わっていません。カオスな世界観を映像でしっかり支える技術と遊び心――これこそが、関和亮監督の真骨頂なのです。

OLあるある×非日常が描くリアルとギャグの絶妙バランス

日常あるあると“ケンカ”の共存が斬新すぎる

『地獄の花園』が唯一無二の作品に仕上がった最大の理由は、OLならではの日常あるあると、ヤンキー抗争という非日常が同居していることです。
しかもそれを、あえて“真面目なテンション”で描くからこそ、視聴者の笑いを誘います。

例えば、「ジム行ってる？」「行ってないw」

序盤では、直子と同僚たちがカフェでかわす何気ない会話が登場します。
「最近ジム行ってる？」「行ってないw」という、会社員なら一度は耳にしたことがあるような会話が行われているすぐ横で、別のOLたちが文字通り血を流しながらタイマンしているのです。

この日常と異常の“ズレ”をあえて同時進行で見せる構成が、シュールな笑いを生み出しています。

化粧直し→即バトル開始、という違和感の妙

もう一つ印象的なのが、「化粧直し→出陣」という流れ。
OLたちは会議室での決戦前にメイクを整え、「よし、行ってくるわ」と言いながら屋上へ向かいます。
こうした描写によって、視聴者は「リアルなOLの“身だしなみ”行動が、そのまま格闘準備になっている」という異様な状況にクスッとしてしまうのです。

バカバカしさの中に“共感”がある

一見ふざけて見えるこのギャップ演出ですが、実は“普通のOLにも葛藤やプライドがある”という深層メッセージにもつながっています。
仕事をこなしながら、どこかで「自分も強くありたい」と思う。そんな気持ちが、過剰にデフォルメされた抗争という形で描かれているのです。

ギャグに見せかけて“生き様”を描いている

「仕事を真面目にこなす」「ケンカにも全力を尽くす」。この作品の登場人物たちは、どちらも中途半端にしません。
そのため笑えるのに、どこか胸を打たれる場面も多く、最終的には“OLとは生き様である”というテーマに行き着く構成になっています。

『地獄の花園』ネタバレ込みで徹底解説！強さランキングとエモすぎるラスト

あらすじ解説：物語後半からの怒涛の展開

直子が“普通のOL”をやめた日

物語は中盤から急展開を迎えます。
カリスマOL・蘭がトムスンの幹部とのタイマン勝負で敗北し、直子が“本来の自分”を解放して暴れ始める場面は、本作の最大の転機です。
これまで温厚で恋バナが好きな普通のOLだった直子が、実は地元でも有名な“ケンカ一家”出身だったという衝撃の真実が明かされます。

突然スイッチが入った直子は、トムスンの幹部たちを一瞬で粉砕し、その場を立ち去る際に「見て分かんだろ。OLだよ」と言い放つ名シーンを残しました。
この瞬間から、直子は物語の中心軸として覚醒していきます。

蘭の挫折と失踪、そして修行

一方で敗北した蘭は深く落ち込み、会社に顔を出さなくなります。
初めての敗北によって、自分が本当に“主役”なのか分からなくなった蘭は、伝説のOL・七瀬小夜（実は直子の祖母）を訪ねて修行を始めるのです。

修行の中では、電話応対やFAXの送信、備品の補充など、まさにOLらしい所作を通じて“強さの本質”を学んでいきます。
この「日常の行動が戦闘訓練になっている」という演出は、映画『ベスト・キッド』のパロディでもあり、本作のユーモアと構成力を象徴する部分です。

トムスン再来と最強の女・鬼丸麗奈の登場

トムスンの幹部たちは傷が癒えると、「地上最強のOL」鬼丸麗奈（演：小池栄子）を連れて三冨士に殴り込みをかけます。
蘭不在の中、朱里や紫織、悦子たちが奮闘しますがまったく歯が立たず、三冨士は壊滅寸前に。
そのタイミングで呼び出されたのが、会社でとぼけていた直子です。

「あたしはさぁ、普通のOLさんでいたかったんだよ。でも、全部台無し！全員殺してやる！」

と感情を爆発させた直子は、再び覚醒モードに突入。
トムスン幹部たちを次々に倒し、鬼丸との最終決戦に挑む流れは、本作のクライマックスとして大きな盛り上がりを見せます。

鬼丸戦は“頂上決戦”にふさわしい迫力

直子と鬼丸の一騎打ちは、アクション映画としてもかなり見応えのあるシーンです。
豪快なパンチの応酬に加え、屋上のロケーションや夕焼けの背景が加わることで、バカバカしい中にもドラマとしての説得力が生まれます。
ラストに向けて、物語は友情・誇り・アイデンティティが交錯する熱い展開へと突き進んでいきます。

映画『地獄の花園』の結末とラストシーン

親友が敵となる、最後の戦い

物語は、直子が鬼丸を倒し、三冨士の“事実上のトップ”となるところで一段落したかに見えます。
しかし、本当のラストはその後にやってきます。
会社に戻ってきた蘭が、突然直子にタイマン勝負を申し込むのです。

その理由は、「てめえを倒さないと前に進めねえんだよ」。
一度は敗北して失踪した蘭が、自分のプライドと存在意義をかけて、直子に再挑戦するのです。

暴力ではなく“関係性”が勝負の焦点に

このシーンは、ただの肉弾戦ではありません。
2人の友情とアイデンティティが激突する「物語の主人公をめぐる闘い」でもあります。
普通を望んでいた直子と、主役でありたい蘭――その価値観がぶつかり合うからこそ、視聴者の感情も大きく動かされます。

激しい戦いの末、直子が勝利。
蘭は涙を流して敗北を認めた瞬間、彼氏のシンジが登場し、彼女を抱きしめて「OLに強さなんていらない。愛してる」と告げるのです。

「試合に勝って、勝負に負けた」直子の切なさ

その様子を見ていた直子は、完全敗北を突き付けられます。
ここで描かれているのは、“拳の勝負には勝ったが、女としては負けた”という直子のジレンマです。
愛を得た蘭、ひとりぼっちの直子。戦いの勝敗以上に、人生の幸せにおいては自分が劣っていたことを痛感するのです。

ギャグ映画にして、まさかのエモい着地

この結末は、最強でも勝ちきれない“何か”が人生にはあるという、深い余韻を残します。
ギャグの勢いで突き進んだ物語が、ラストでは思わずしんみりさせる展開に着地することで、観客にもう一度“笑いとは何か”“生き様とは何か”を問いかけているようにも感じられます。

このように、『地獄の花園』の結末は笑って終わらない、心に少し刺さるラストとなっているのです。

蘭VS直子の決着が意味するもの

拳で語る友情とプライドのぶつかり合い

物語終盤、三冨士とトムスンの抗争が決着を迎えた後、本当のクライマックスは直子と蘭の一騎打ちでした。
この戦いは、単なる勝ち負け以上に、2人の関係性と個々の人生観が交錯する重要なシーンとなっています。

蘭が「挑戦者」になるという構図の逆転

これまで“カリスマ”として描かれてきた蘭は、鬼丸戦を通じて完全に主役の座を直子に奪われたかたちになります。
ここで彼女が取った行動は、再び自分を証明するため、直子に挑むことでした。
つまり、勝負の目的は自己肯定であり、直子を倒すことで再び“主人公”に返り咲きたかったのです。

直子の葛藤と静かな覚悟

一方、直子はすでに“普通のOL”ではなくなっており、自身の強さと向き合うことを決めています。
蘭の申し出に応じる姿勢には、「かつての憧れだった人と、今の自分を比べてみたい」という、静かな誇りと成長の証が込められていました。

戦いの中で生まれる“立場の対等性”

実際の対決は激しいものとなりましたが、勝ち負けが明確であることよりも、2人が“対等な存在”として向き合えたことに大きな意味があるといえるでしょう。
拳を交えることによってしか分かり合えない――そういう価値観の中で生きてきた彼女たちにとって、この戦いは会話であり和解であり、友情の再確認でもあったのです。

ラストの“勝負に勝って恋に負けた”が象徴するもの

蘭が彼氏に抱きしめられた瞬間、直子が「完敗」と呟くラストは、単なるギャグではなく、人生における“勝ち”とは何か？を問いかけています。
力では勝ったけれど、心の居場所を見つけた蘭に対して、直子は少し寂しそうな表情を見せる――その切なさが、物語の後味をより深いものにしているのです。

蘭の“OL修行”に込められたパロディ要素

負けたからこそ始まった“本当の強さ”への道

物語中盤で蘭は、自分が信じてきた“強さ”を根底から打ち砕かれます。
トムスンの幹部との戦いに敗れ、気力を失い、姿を消してしまう――それは単なる敗走ではなく、自分の存在意義を見失った象徴的なシーンでもありました。

そこから彼女は、伝説のOL・七瀬小夜（直子の祖母）のもとで修行に入ります。
修行の内容は、直子がやっていたような「電話対応」「コピー」など、どれも一見地味な“OLあるある”ばかり。
しかしこの過程が、物語の裏テーマを際立たせていくのです。

『ベスト・キッド』オマージュとしての妙味

修行シーンの構成は、1984年の名作映画『ベスト・キッド』のパロディであることが明白です。
あちらでは、「ワックスがけ」や「ペンキ塗り」が空手の型につながる修行法として描かれていました。
本作ではそれを、“OL的ふるまい”＝“戦いに必要な基礎力”として落とし込んでいる点がユニークです。

こうした“仕事スキル”が、最終的に鬼丸戦や直子との再戦につながっていく展開は、ただのギャグではなく、構成上きわめて秀逸な伏線といえるでしょう。

日常こそが、最強への近道

この修行のメッセージは明確です。
「目立たない日々の積み重ねこそが、本当の強さを育てる」ということ。
戦闘だけでは真のカリスマにはなれない――蘭はそれを学んだからこそ、再び表舞台に戻ってこられたのです。

本作が「ただのケンカ映画」に終わらず、どこかジーンとくる要素を持つのは、こうした“働くこと”へのリスペクトが根底にあるからなのかもしれません。考えすぎだと気が付いてます。

OLたちの“生き様”に注目すべき理由

見た目はコメディ、中身は人生ドラマ

『地獄の花園』という作品は、一見バカバカしいギャグ映画に見えて、実は“OLという職業観”を深く掘り下げた異色のドラマでもあります。
多くの観客が気づかぬうちに感情移入してしまうのは、拳を交えるその姿の奥に、“働く女性としてのプライド”がにじみ出ているからです。

「OL」とは肩書きではなく、誇りの象徴

登場人物たちは皆、「OL」であることに強い自負を持っています。
コピーを取るのも戦うのも、どちらも本気。ジムに通い、メイクをし、日報を書く――そうした日常の積み重ねが、彼女たちの“強さ”そのものを形成しているのです。

一見すると滑稽な「戦うOL」たちも、その根底には「仕事に誇りを持ち、自分の居場所を守る」という確固たる信念が流れています。

修行シーンが伝える“OL道”の深み

蘭が物語中盤で体験する「OL修行」も、ただのギャグではありません。
FAXを送る、電話応対をする、文具を並べる――これらは一見単調な業務ですが、それらを通じて「支えることの強さ」「気配りの力」を学んでいきます。

この描写は、日々の仕事を軽視しがちな現代社会に対するある種のアンチテーゼとも受け取れます。

笑いの中にあるリアルな“働く女性像”

多くのバトル映画が“破壊”や“征服”を描く中で、『地獄の花園』は守るもののために戦う女性たちの姿を映し出しています。
彼女たちにとっての“強さ”は、派手な格闘技ではなく、仲間への想い、会社への責任感、そして自分の居場所を守る力です。

OLは“生き様”であり“アイデンティティ”

この映画の本質は、「OLとは何か？」という問いに対し、「自分らしく働くこと」と答えている点にあります。
どんなに笑っても、突飛な設定でも、最後に残るのは「誰かに認められたい」「自分の道を貫きたい」という普遍的な人間の想い。

だからこそ本作は、ただのバカ映画では終わらず、観る者の心に“私も頑張ろう”という小さな火を灯すのです。

地獄の花園【強さランキングTOP10】最強は誰だ!?

単純な腕力ではなく、存在感やカリスマ性も加味

『地獄の花園』に登場するOLたちは、戦闘力だけでなく、キャラクターの“立ち位置”や“オーラ”も強さの一部として描かれています。
ここでは、喧嘩の強さに加えて、物語への影響力・リーダーシップ・ビジュアルインパクトなども含めて、独自の総合評価でTOP10を決定しました。

第1位：田中直子（演：永野芽郁）

普通のOLから最強OLへ、全てを超えた存在

直子は、物語を通じて最も成長し、最終的には鬼丸麗奈を破って頂点に立ったキャラクターです。
最初は平凡な存在でありながら、覚醒後は冷静さと爆発力を兼ね備えた最強クラスに。
ラストバトルでの勝利が、すべてを証明しています。

第2位：鬼丸麗奈（演：小池栄子）

OL社会の頂点に君臨する破壊神的存在

鬼丸は、三冨士OL連合を一瞬で壊滅させるほどの強さを誇り、対戦相手を震え上がらせる圧倒的なオーラを放っています。
唯一の敗北は直子戦のみで、ほぼ全戦全勝の記録は圧巻。
貫禄・戦闘力・インパクトの全てが規格外です。

第3位：北条蘭（演：広瀬アリス）

中途採用から頂点へ、敗北と修行を乗り越えた者

蘭は、冴木妙子に敗北し、一度どん底に落ちますが、修行を経て再起。
直子との再戦では敗れたものの、精神的成長と技の鋭さは一線級です。
ただ強いだけでなく“芯の強さ”を持つキャラクターとして、3位に相応しい位置づけです。
※鬼丸麗奈との戦闘描写がないため、純粋な強さは比較できないが、影響力などを考慮すると鬼丸麗奈には劣ると思い３位に落ち着く。

第4位：赤城涼子（演：遠藤憲一）

トムスンのOLを束ねる「魔王赤城」

赤城の性格は冷酷で頭脳明晰。戦闘シーンは少ないながらも、トムスン三銃士を従えている点からも強キャラ設定が伺える。ゲームや企画物が好きで、「激突！タイマンメドレー」で蘭とトムスン三銃士を戦わせて場を楽しむ。
※戦闘シーンが少なく、蘭に勝った冴木妙子の方が上位と考えられるが、影響力といった点で上位としました。

第5位：冴木妙子（演：勝村政信）

トムスン三銃士の筆頭、蘭に勝利した「青い稲妻」

トムスン三銃士の中で最も高い戦闘力を誇り、実際に蘭に勝利した人物。
戦闘スタイルはボクシング。軽快なフットワークで間合いをコントロールし、パンチで倒す。性格は物静かでヤンキーというよりも「職人」といったイメージ。
※蘭には勝ったが、蘭が万全のコンディションではなかった点も考慮してこの順位。

第6位：藤崎麻理（演：松尾諭）

三銃士の中堅「下関の虎河豚」

異名と本名のギャップがありすぎる麻里ちゃん。重量級としての自分の身体を優位に利用したゴリ押しスタイル攻撃が特徴で、「激突！タイマンメドレー」では２番手を張る実力者。戦略性にはやや欠ける印象でタイマンよりも集団戦で光るタイプ

第7位：工藤早苗（演：丸山智己）

三銃士の先鋒「七色の拳を持つ女」

トムスン三銃士の一人で、蘭との「激突！タイマンメドレー」の1人目。革の手袋を愛用しており、高速パンチでの攻撃が得意。

第8位：安藤朱里（演：菜々緒）

かつての三冨士トップ「悪魔の朱里」

朱里は登場時点での三冨士最強の存在。蘭が現れるまでのボス格であり、性格は怖いが周囲からの信頼も厚く仕事もできる。
ピラティスが日課。

第9位：神田悦子（演：大島美幸）

圧倒的な体格とパワーを持つ「大怪獣悦子」重量級OL

傷害事件で服役していた神田悦子はトップを争っていたが、朱里に負けてその下につく。
300戦無敗＆刑務所帰りという設定もインパクトあるが、ファッション誌が好きなギャップが藤崎麻理との対比構造に見える。

第10位：佐竹紫織（演：川栄李奈）

予測不能な「狂犬紫織」

佐竹は感情の振れ幅が大きく、キレると手が付けられない設定ではあるものの、作中では明確な勝利こそありません。
佐竹一派のトップとして三富士のトップを争っていたこともあるため、モブよりは強いといった程度。キレキャラだが、備品整理が得意な几帳面な一面も。

地獄の花園強さランキングとネタバレ考察で総まとめ