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映画『フライト・ゲーム』ネタバレ|犯人の正体・動機と結末を解説

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こんにちは、物語の知恵袋のふくろうです。

『フライト・ゲーム』を見終わると、やっぱり気になるのは「あの犯人は結局何をしたかったのか」「どうやってビルを犯人に仕立てたのか」という部分ではないでしょうか。

私も鑑賞中は、同僚の航空保安官、隣席のジェン、乗客、乗務員と、登場人物が映るたびに疑ってしまいました。しかも物語が進むほど主人公ビル自身まで怪しく見えてくるので、最後まで犯人を絞りにくいんですよね。

この記事では『フライト・ゲーム』の犯人であるトム・ボーウェンと共犯者ザック・ホワイトの正体を中心に、20分ごとの殺人、1億5000万ドルの口座、携帯電話、爆弾の仕掛け、犯行動機、最後の結末まで時系列で追っていきます。

ここからは映画のラストまで完全なネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

この記事でわかること

  • フライト・ゲームの真犯人と共犯者

  • 9.11と犯人の動機の関係

  • 口座や携帯電話、爆弾を使った犯行計画

  • ラストの結末と伏線の意味

フライト・ゲームの作品概要

映画『フライト・ゲーム』をイメージした旅客機内で拳銃を構える航空保安官と両手を上げる乗客たち
イメージ:映画『フライト・ゲーム』をイメージした旅客機内で拳銃を構えるビルと両手を上げる乗客たち

まずは物語を追いやすくするため、本作の基本情報と主な登場人物を確認しておきます。『フライト・ゲーム』は犯人候補が多いため、「誰が何をしていた人物なのか」を把握しておくと終盤の真相がかなり分かりやすくなります。

フライト・ゲームの基本情報

『フライト・ゲーム』は、原題を『Non-Stop』とする2014年のサスペンスアクション映画です。日本では2014年9月6日に公開され、上映時間は107分。監督はジャウム・コレット=セラ、主人公ビル・マークスをリーアム・ニーソンが演じています。

舞台はニューヨークからロンドンへ向かう国際線。飛行中の旅客機という、誰も途中で逃げられず外部から警察も駆けつけられない空間で事件が進みます。

項目 内容
邦題 フライト・ゲーム
原題 Non-Stop
日本公開 2014年9月6日
上映時間 107分
監督 ジャウム・コレット=セラ
主演 リーアム・ニーソン
ジャンル サスペンス、アクション、スリラー

原題の「Non-Stop」という言葉どおり、脅迫が始まってからは殺人、疑惑、爆弾と問題が次々に起こります。じっくり考える時間を主人公にも観客にも与えないところが、この映画らしいところです。

主要な登場人物

主人公ビル・マークスは連邦航空保安官で、元ニューヨーク市警の警察官です。ただし、最初から完璧なヒーローとして登場するわけではありません。

過去の喪失を引きずり、酒に頼る面があり、機内のトイレでは隠れてタバコまで吸っています。飛行機そのものも苦手で、亡くなった娘からもらった青いリボンをお守りとして手首につけています。

ビルの隣に座るのがジュリアン・ムーア演じるジェン・サマーズ。ビルを知る客室乗務員ナンシー、もう一人の航空保安官ジャック・ハモンド、教師を名乗るトム・ボーウェン、スマートフォンに詳しいザック・ホワイトなども登場します。

人物関係で覚えておきたいポイント

ハモンド、ジェン、トム、ザックは途中でそれぞれ怪しく見えます。しかし「何か秘密を持っている人物」と「今回の事件の犯人」は同じではありません。ここを分けて見るのが犯人当てのポイントです。

ネタバレあらすじを時系列で解説

ここから事件を発生順に追っていきます。犯人の計画は、単純に乗客を殺して金を奪うものではありません。ビルが取る行動そのものを利用し、彼をハイジャック犯へ変えていくところに最大の仕掛けがあります。

20分ごとの脅迫が始まる

航空保安官としてニューヨーク発ロンドン行きの旅客機に乗ったビルの端末へ、突然匿名のメッセージが届きます。

内容は指定した口座へ1億5000万ドルを送金しなければ、20分ごとに機内の人間を1人殺すというもの。

しかも送信者はビルの行動をかなり細かく把握しています。飛行中なので、犯人が機内にいる可能性はかなり高い。それなのに誰が端末を操作しているのか分かりません。

乗客も乗務員も容疑者。ビルはほとんど手掛かりがないまま、最初の20分と戦うことになります。

ハモンドが最初の犠牲者になる

ビルが最初に疑った人物の一人が、同じ便に搭乗していた航空保安官ジャック・ハモンドです。

ハモンドには後ろ暗い事情がありました。航空保安官という立場を悪用し、コカインを密輸していたのです。

ビルとハモンドは狭い機内トイレで激しく争い、結果としてハモンドは死亡します。ここで恐ろしいのが、その死が犯人の宣告した最初の20分と重なることでした。

つまり犯人は、自分の手で直接ハモンドを殺さなくてもよかったわけです。ビルにハモンドを疑わせ、争わせ、予定された時刻に死亡する状況へ追い込めば「予告どおり1人死亡した」という結果になります。

◆ふくろうのワンポイント

ここが犯人のかなり嫌らしいところです。ビルは人を救おうとして動いているのに、その行動まで犯行計画の部品として利用されます。最初の犠牲者からすでに、ビルを追い詰める罠は始まっていました。

機長とウィーラーも死亡する

ハモンドが死んでも脅迫は終わりません。続いて機長デヴィッド・マクミランが毒によって死亡します。

ビルは犯人の端末を見つけるため、スマートフォンに詳しいザック・ホワイトへ協力を求めます。そして問題の携帯電話を鳴らしてみると、乗客チャールズ・ウィーラーのポケットから音が聞こえてきました。

これならウィーラーが犯人だと思いますよね。

ところがウィーラーまで突然死亡します。さらに調べると、機内トイレの壁には操縦席方向を狙える小さな穴があり、ウィーラーの身体からはダーツ状の物も見つかります。

「犯人の携帯を持っていた人物が犯人」という単純な話ではなかったのです。

ビル本人が犯人にされていく

犯人の狙いがはっきり見えてくるのが、要求された1億5000万ドルの送金口座です。

地上側が調査すると、なんと指定口座はビル・マークス本人名義になっていました。

地上から見れば、航空保安官のビルが旅客機の中で乗客を拘束し、自分名義の口座へ1億5000万ドルを要求しているようにしか見えません。

さらに同僚のハモンドは死亡。ビルには飲酒などの問題もあり、もともと組織から全面的に信頼されている人物ではありません。

犯人はそこまで計算し、ビルを「航空機を守る人間」から「航空機を乗っ取った人間」へ変えていきました。

犯人が本当に奪ったかったのは、ビルの信用です。

口座、過去の問題、機内での乱暴な行動、乗客の死亡を重ねることで、外部の人間にはビル自身がテロリストに見える状況が作られていました。

爆弾のタイマーが動き出す

その後、犯人側の携帯電話を操作したことで30分の爆弾タイマーが作動します。

ここで事件は犯人当てだけでは済まなくなりました。時間までに爆弾を処理できなければ、犯人だけでなく旅客機そのものが危険になります。

問題は、厳しい空港の保安検査をどうやって爆弾が通過したのかという点です。

ビルがたどり着いたのは、死亡したハモンドが持っていたコカイン入りのブリーフケースでした。爆弾はその中に隠されていたのです。

ハモンドは航空保安官という立場を利用して薬物を密輸していました。その「通常の乗客とは違う立場」を犯人に悪用され、爆弾を機内へ持ち込む経路にされてしまったわけです。

フライト・ゲームの犯人は誰

映画『フライト・ゲーム』をイメージした旅客機内で互いを警戒する複数の乗客と犯人捜しの場面
イメージ:映画『フライト・ゲーム』の旅客機内で互いを警戒する複数の乗客と犯人捜し

映画の最大の疑問に答えると、犯人は一人ではありません。事件を計画した人物と、それに協力した人物が存在します。

真犯人はトム・ボーウェン

『フライト・ゲーム』の真犯人は、学校教師を装っていたトム・ボーウェンです。

演じているのはスクート・マクネイリー。搭乗前からビルと言葉を交わし、事件の途中ではビルを助ける場面まであるため、初見ではかなり犯人候補から外れやすい人物でしょう。

決め手になるのは、乗客が機内で撮影していた動画です。

ビルが映像を何度も確認すると、トムがチャールズ・ウィーラーの近くを通った際、問題の携帯電話を密かに仕込んでいたことが分かります。

ウィーラーが犯人の端末を持っていたのは、本人が犯人だったからではありません。トムがウィーラーを偽の犯人に見せるため携帯を入れていたのです。

共犯者はザック・ホワイト

トムと組んでいたのが、ネイト・パーカー演じるザック・ホワイトです。

ザックはスマートフォンやプログラムに詳しく、途中ではビルの捜査に協力する人物として登場します。しかし実際には、最初からトム側の共犯者でした。

犯人が一人だと考えている間、ビルはどうしても行動の矛盾を解消できません。一人を監視していても別の人物が動けるためです。

トムとザックという複数犯だったからこそ、携帯電話、殺人、爆弾などを同時進行させながら、乗客の中に紛れ続けることができました。

ハモンドは黒幕ではない

ここで間違えやすいのがジャック・ハモンドです。

ハモンドは確かに犯罪をしています。航空保安官の立場を利用したコカイン密輸なので、決して潔白な人物ではありません。

ただし、今回のハイジャック事件を計画した犯人ではありません。

正しく分けるなら、トム・ボーウェンが主犯、ザック・ホワイトが共犯、ハモンドは自分の不正を犯人側に利用された航空保安官という関係です。

爆弾がハモンドのブリーフケースから見つかったため黒幕のように見えますが、「爆弾を持っていた=爆弾を仕掛けた」という意味ではないんですね。

犯人の動機と犯行計画

トムとザックは共犯ですが、同じ理由で事件を起こしているわけではありません。ここを分けると、少し分かりにくかった終盤の会話も理解しやすくなります。

ボーウェンの目的と9.11

トム・ボーウェンは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで父親を失った人物として描かれています。

その経験から、テロ後も国の航空保安体制は十分ではなく、「国は国民を守れていない」という考えを抱くようになりました。

そこで彼が選んだ方法が、航空保安官であるビルをテロリストに仕立て、本当に旅客機を危機へ追い込むことです。

航空保安を担う人間がテロを起こしたように見せれば、現在の航空保安制度が役に立っていないことを世間へ突きつけられる。大事件を起こすことで、より厳しい安全対策を国へ迫ろうとしたわけです。

ボーウェンの目的は単なる金目当てではありません。

1億5000万ドルは恐喝事件を成立させ、ビルを犯人に見せるための道具でもあります。ボーウェンの中心にあるのは航空保安への不信と歪んだ使命感です。

ザックは金銭目的で加担

一方、ザックの動機はもっと現実的です。

ザックは主に金銭を目的として事件へ加担しています。

この違いはクライマックスで重要になります。トムは自分が死ぬことを恐れないほど計画へ執着していますが、ザックにとって飛行機ごと爆発して自分まで死亡するのは話が違います。

ビルが爆弾の解除を持ちかけたことで、共犯だった二人の目的の違いが表面化します。

同じ事件を起こしていても、思想のために死ぬ覚悟をしているトムと、金を手に入れたいザック。最終局面で二人が完全には同じ方向を向いていなかったことが、犯人側の崩壊につながりました。

なぜビルが狙われたのか

「なぜ数多くいる航空保安官の中からビルだったのか」という疑問も残ります。

この点について、映画ではトムがビルを選んだ細かな調査過程まで説明していません。そのため、選定方法そのものを断定することはできません。

ただ、ビルが犯人役として都合のよい人物だったことは分かります。

元警察官で武器を扱える航空保安官。一方では酒や喫煙の問題を抱え、家庭の悲しみを引きずり、組織内でも信用が万全とは言えません。

もしビルがハイジャック犯だという情報が流れれば、「職務上の立場と能力を悪用したのではないか」と周囲が信じても不自然ではない人物像です。

犯人はビルの能力ではなく、彼が持っている傷や社会的な信用の低さまで利用したと考えると計画の狙いが見えてきます。

ビル名義の口座の意味

1億5000万ドルの送金先をビル本人の名義にしたのも、犯人の計画の中心部分です。

ただ金を受け取るだけなら、犯人側の名義ではない匿名性の高い口座を用意すれば済みます。しかし、それではビルをテロリストに仕立てることができません。

そこで犯人は、要求した金がビルへ渡るように見える形を作りました。

脅迫メッセージを受け取っているのはビル。しかし地上の当局にはそのやり取りがすべて見えているわけではありません。

外から確認できるのは「ビルが機内を制圧している」「人が死んでいる」「要求された金の口座がビル名義」という結果です。

この情報だけを並べれば、ビルが犯人だと思われても無理はありません。

爆弾はどう持ち込まれた

爆弾の持ち込み方法も犯行計画の大事な部分です。

一般の乗客が大きな爆弾をそのまま持ち込もうとすれば、空港の保安検査で見つかる可能性があります。

そこで利用されたのがハモンドの不正でした。

ハモンドは航空保安官という立場を利用してコカインを密輸しており、そのブリーフケースが爆弾を運び込む経路になっています。

つまり犯人は航空保安制度の問題を世間へ示そうとする一方、その制度の中にいる人間の不正まで犯行に利用しました。

皮肉ですが、トムが批判していた航空保安側の穴を、自分自身が最も危険な形で利用したことになります。

終盤のどんでん返しと結末

映画『フライト・ゲーム』をイメージした旅客機内で向かい合う男性たちの緊迫した対決シーン
イメージ:映画『フライト・ゲーム』で旅客機内で向かい合うビルとトムの緊迫した対決シーン

爆弾が見つかったあと、物語は犯人当てから航空パニックへ一気に進みます。同時に、それまで散らばっていた映像や人物の行動が真犯人へつながっていきます。

乗客の動画が犯人を暴く

決定的な手掛かりになるのが、乗客によって撮影されていた動画です。

ビルは映像を見直し、チャールズ・ウィーラーが犯人の携帯を持つことになった経緯を探ります。

そして映像の中に、トム・ボーウェンがウィーラーの近くを通り、密かに携帯電話を忍ばせる様子を発見しました。

ここで、それまで「善良そうな教師」に見えていたトムの正体が逆転します。

携帯電話は犯人を見つける証拠ではなく、別の人物を犯人に見せるために動かされていた証拠だったわけです。

◆ふくろうのワンポイント

この動画を確認したあとで序盤から見直すと、トムの何気ない動きまで違って見えます。初見では背景にいる普通の乗客なのに、真相を知ったあとでは「いつ仕掛けていたのか」を探す映画に変わるんですよ。

なぜ犯人はビルを助けた

トムが犯人だと分かったあと、「それならなぜ途中でビルを助けたの?」と思った方もいるでしょう。

ビルがテロリストだという報道を知った乗客たちは、彼を取り押さえようとします。そのとき、意外にもトムはビル側に立ち、まず爆弾を何とかするべきだと乗客を説得しました。

映画の中でトムが理由を一から説明する場面はありません。ただ、彼の立場から考えると意味のある行動です。

ビルがそこで完全に拘束されれば、爆弾をめぐる状況が犯人側の想定と違う方向へ進む可能性があります。

しかも自分からビルを助ければ、周囲には「ビルを信じた善良な乗客」に見えるため、自分への疑いも薄くなります。

結果として、この行動はトムを犯人候補から遠ざけるかなり効果的な目くらましになりました。

8000フィートまで降下する

爆弾の爆発が避けられない可能性を考えたビルは、爆弾を機体後部へ移動させます。

そして周囲に乗客の荷物を積み、乗客自身はできるだけ前方へ移します。

さらに副操縦士カイル・ライスへ指示し、飛行高度を約3万フィートから8,000フィートまで下げていきます。

作中では、高高度で機体に穴が開いた場合の大きな気圧差を避け、爆発による被害を少しでも抑えるための対応として描かれています。

犯人を見つけることだけではなく、「爆発しても生き残れる可能性を作る」方向へビルの行動が切り替わる場面です。

ボーウェンとザックの最期

犯人の正体が明らかになると、トムとザックの関係にも亀裂が入ります。

ビルはザックに爆弾を解除するよう説得します。金が目的のザックにとって、自分まで死んでしまえば何も得られません。

ところがトムには、計画のためなら自分も死ぬ覚悟があります。

ザックが揺らいだことでトムは彼を撃ち、共犯者同士の対立が決定的になります。

その後、機体が8,000フィートへ降下していく中、ビルはトムと戦い、最後にはトムを射殺します。

撃たれながらも生きていたザックもビルへ襲いかかりますが、その直後に爆弾が爆発。ザックは死亡し、機体後部も大きな損傷を受けます。

アイスランドへ緊急着陸

犯人を倒しても事件は終わりではありません。爆発で損傷した旅客機を地上へ戻さなければ、乗客は助からないからです。

副操縦士ライスは機体を立て直し、目的地だったロンドンではなくアイスランドへの緊急着陸を試みます。

機体は激しく損傷しているものの、何とか着陸に成功。爆発以降にさらなる犠牲者を出さず、乗客は救助されました。

そしてビルがテロリストだったという疑惑も晴れます。

事件の途中では世界中からハイジャック犯のように見られていた男が、最後には乗客を救った航空保安官として報道される。犯人に奪われた信用を、自分の行動によって取り戻した結末です。

鑑賞後に残る伏線と疑問

『フライト・ゲーム』はスピード感を重視しているため、見終わったあとに「あの場面はどういう意味だったのだろう」と気になるところがいくつかあります。特に分かりにくいポイントを確認していきます。

アムステルダムの意味

空港でトムは、アムステルダムへ向かうような話をビルとしています。

ところが離陸後、トムはロンドン行きの同じ飛行機に乗っています。そのためビルも「アムステルダムはどうした?」という趣旨で確認します。

トムはロンドンで乗り継ぐと説明するので、これだけで犯人だと断定できる矛盾ではありません。

ただ、鑑賞後に考えるとトムへ一度疑いを向けさせる伏線として働いています。

「怪しい。しかし説明はつく」という微妙な位置に置くことで、逆に観客の記憶から犯人候補として消えやすくしているとも感じます。

青いリボンの意味

ビルが手首につけている青いリボンは、亡くなった娘からもらったお守りです。

屈強なリーアム・ニーソンが演じる航空保安官なのに、本人は飛行機の離陸を怖がっています。

そこで娘からもらったリボンを身につけることで、自分を落ち着かせているわけです。

これは単なる小道具ではありません。ビルが抱えている喪失や父親としての一面を表す物でもあります。

機内の少女ベッカに優しく接する姿にも、娘を失ったビルの感情が重なって見えてきます。

ジェンの職業は何

ジュリアン・ムーア演じるジェン・サマーズについて、「結局何の仕事をしている女性だったの?」と気になった人も多いでしょう。

結論として、ジェンの職業は映画の中では明確に明かされません。

序盤でビルが仕事について尋ねても、ジェンは答えを濁します。

これは見落としというより、ジェンにも秘密があるように見せる演出と考えた方が自然です。

窓側の席にこだわる、職業を教えない、トイレにも入る。こうした小さな行動が積み重なり、途中ではビル自身もジェンを疑います。

しかし最終的にジェンは犯人ではなく、ビルを支える側の人物です。

金は返せよの意味

ラスト近くで疑いが晴れたビルに対し、地上側のマレニックが謝罪したあと、吹替版では「あの金は返せよ」と冗談めかして話します。

ビルは「何の金?」という調子で返しています。

この「金」は、ビル名義にされた口座へ送金された1億5000万ドルを指していると考えるのが自然です。

ビルがマレニック個人から借金していたという話ではありません。

最後までビル名義だった1億5000万ドルをネタにした軽口ですね。緊張続きだった事件が終わったことを感じさせる、ちょっとしたブラックジョークになっています。

機長はどう殺された

機長デヴィッド・マクミランは毒によって死亡します。

その後、機内トイレの壁に操縦席方向へ通じる小さな穴が見つかり、ウィーラーの身体からダーツ状の物も発見されます。

映画では誰がどの瞬間にどの手順で毒を使ったのかまで長々とは説明していません。

そのため細かな実行方法には余白がありますが、壁の穴と毒物を使った攻撃が殺害方法を示す手掛かりになっています。

少なくともジェンや副操縦士が犯人だったという意味ではありません。

フライト・ゲームの感想

映画『フライト・ゲーム』をイメージした機内で電話を使って捜査する男性と周囲を警戒する女性
イメージ:映画『フライト・ゲーム』の機内で電話を使って捜査するビルと周囲を警戒するジェン

犯人と仕掛けを確認したところで、作品全体についても触れておきます。私が『フライト・ゲーム』で一番楽しめたのは、やはり「誰を信じればいいのか分からない」という感覚でした。

犯人当てが最後まで面白い

この映画は、犯人が分からないだけではありません。

ハモンドにはコカイン密輸という秘密がある。ジェンは職業を教えない。ウィーラーから犯人の携帯が出てくる。ザックはビルに協力する。そしてトムは乗客からビルを助けます。

全員に「犯人らしく見える理由」と「犯人ではなさそうに見える理由」が混ざっています。

しかも主人公のビルまで疑われ始めるので、観客が安心して信用できる人物がほとんどいません。

私はこういう密室ものが好きなのですが、本作は「怪しい人を探す」より「全員怪しくなっていく」感覚の方が印象に残りました。

飛行中の旅客機という舞台との相性も抜群です。

犯人の動機には引っかかる

一方で、犯人が分かったあとの動機については好みが分かれると思います。

20分ごとの殺人、ビル名義の口座、複数の携帯電話、爆弾、航空保安官の不正まで利用した非常に大掛かりな計画です。

そのため、真相が明らかになるまでに「これほどのことをする理由とは何なのだろう」と期待がかなり膨らみます。

そこで明かされるのが、9.11で父を失ったことによる航空保安への不信です。

背景そのものは理解できます。ただ、航空安全を訴えるために無関係な乗客を大量に巻き込み、旅客機そのものを爆破する計画には、かなり歪んだ飛躍があります。

犯人の思想や過去がもう少し描かれていれば、終盤の印象も違ったかもしれません。

◆ふくろうのワンポイント

細かな犯行計画を本格ミステリーのように全部検証するより、「次は誰が死ぬのか」「犯人は誰なのか」という勢いに乗って見る方が楽しみやすい映画だと思います。原題『Non-Stop』の名前どおり、本当に止まらない作品です。

リーアム・ニーソンの魅力

そして多少無茶な展開があっても最後まで見せてしまうのは、やはりリーアム・ニーソンの存在感が大きいです。

ビルは若くて完璧なスーパーヒーローではありません。

酒に頼り、娘を失った傷を抱え、飛行機まで怖がっています。それでも事件が起きれば、自分が疑われても乗客を守ろうとします。

『96時間』以降のリーアム・ニーソンが得意としてきた、疲れや孤独を抱えた大人のアクションヒーロー像にぴったりです。

犯人当てのミステリーから最後は格闘と航空パニックへ移る映画なので、この人なら最後は何とかしてくれそうだと思わせる説得力もあります。

鑑賞後の疑問を確認

最後に、『フライト・ゲーム』の犯人やラストについて特に気になりやすいポイントを簡潔に確認します。

フライト・ゲームのよくある質問(FAQ)

Q1. フライト・ゲームの犯人は誰ですか?

A. 主犯は学校教師を装っていたトム・ボーウェンです。さらにザック・ホワイトが共犯者として事件に加担しています。航空保安官ハモンドはコカインを密輸していましたが、今回のハイジャック事件の黒幕ではありません。

Q2. 犯人の動機は何だったのですか?

A. トム・ボーウェンは9.11で父親を失った経験から米国の航空保安体制に不信を抱いていました。航空保安官ビルをテロリストに仕立てることで、現在の航空保安では国民を守れないと世間へ示し、安全対策の強化を迫ろうとします。一方、ザックは主に金銭目的で加担しています。

Q3. なぜトムは途中でビルを助けたのですか?

A. 映画内で理由が一つの台詞として説明されるわけではありません。ただ、ビルが途中で完全に拘束されると爆弾を含む計画が予定どおり進まなくなる可能性があります。また、自分からビルを助ければ周囲から善良な乗客に見え、自身への疑いを薄くできる利点もありました。

Q4. ジェンは犯人だったのですか?

A. ジェンは犯人ではありません。職業を明かさないことやトイレへ入ることなど、観客とビルに疑わせる描写がありますが、最終的にはビルに協力する人物です。なお、ジェンの具体的な職業は映画本編では明かされません。

Q5. フライト・ゲームは実話ですか?

A. 特定の実際のハイジャック事件を映画化した作品ではなく、フィクションのサスペンス映画です。航空保安官や航空テロといった現実に存在する要素を取り入れているため現実味がありますが、ビル・マークスの事件そのものが実話という設定ではありません。

まとめ

『フライト・ゲーム』の事件を最後まで追うと、単純な「犯人は誰か」という謎だけでなく、ビルを犯人に見せるために複数の仕掛けが重ねられていたことが分かります。

  • 真犯人は教師を装ったトム・ボーウェン
  • ザック・ホワイトは金銭目的で加担した共犯者
  • ボーウェンは9.11で父を失い航空保安へ不信を抱いていた
  • ビル名義の口座はビルをテロリストに仕立てる罠
  • 爆弾はハモンドのコカイン入りブリーフケースに隠されていた
  • ウィーラーの携帯はボーウェンが仕込んだもの
  • 最後はボーウェンとザックが死亡しアイスランドへ緊急着陸する

犯人の動機や計画には少し無理を感じるところもありますが、飛行中の旅客機という逃げ場のない空間で次々と容疑者を入れ替えていく展開は見事です。

特に面白いのは、犯人を追っている主人公自身が犯人に見えてくること。送金口座や携帯電話、爆弾の意味を知ったうえでもう一度見ると、トムやザックの何気ない行動にも目が向きます。

難しい理屈を考え続けるというより、犯人当てとリーアム・ニーソンのアクション、そして終盤の航空パニックを一気に楽しむ作品。私はそんな見方が『フライト・ゲーム』には一番合っているかなと思います。

-スリル・サスペンス/ホラー・ミステリー