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映画『ナイト&デイ』ネタバレ解説|結末とロイの正体を考察

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こんにちは、物語の知恵袋のふくろうです。

『ナイト&デイ』は、トム・クルーズとキャメロン・ディアスの軽快な掛け合いが楽しいスパイアクション。けれど、いざ結末まで観ると「ロイは本当に裏切り者だった?」「最後にジューンが彼を連れ出したのはなぜ?」と、振り返りたくなる場面がいくつもあります。

私が特に惹かれたのは、何でもできるロイが、実は自分の人生を自由に選べない人物だったこと。ここでは空港での出会いから結末までをネタバレありで追いながら、ゼファーの秘密、黒幕の思惑、ラストの言葉に込められた意味を読み解いていきます。未鑑賞の方はご注意くださいね。

この記事でわかること

  • ロイとジューンが巻き込まれた事件のあらすじ

  • 裏切り者の正体とゼファーを巡る争いの結末

  • ロイの本名やラストシーンに残された謎

  • タイトルや印象的なセリフから読み取れるテーマ

ナイト&デイのネタバレあらすじと結末

映画『ナイト&デイ』で、ジューンを背後にかばいながら銃を構えるロイ・ミラーの緊迫した場面
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まずは物語の流れを確認しましょう。ロイの説明とCIA側の説明は何度も食い違いますが、最後まで観ると、その理由がわかってきます。登場人物の立場を押さえておくと、目まぐるしい逃亡劇も追いやすくなりますよ。

空港の出会いと飛行機の異変

クラシックカーの部品を買い付けたジューン・ヘイヴンスは、妹エイプリルの結婚式に向かうため、ウィチタの空港にいました。そこで何度もぶつかったのが、笑顔の魅力的な男性ロイ・ミラー。偶然が重なったように見える出会いに、ジューンは早くも心を動かされます。

ところが、搭乗した飛行機は妙に乗客が少なく、不穏な空気。ジューンが化粧室で身だしなみを整えている間に、ロイは乗客や乗務員を装っていた襲撃者たちと戦っていました。彼女が戻ってくると機内には倒れた人々がいて、操縦する人間さえいない状態です。ロイは信じられないほど冷静に飛行機を不時着させ、2人は命拾いします。

さらに驚かされるのは、その後のロイの行動。彼はジューンに薬入りの飲み物を与えて眠らせ、自宅まで送り届けてしまうのです。目覚めた彼女は、飛行機で起きたことが悪い夢だったのではないかと疑うほど。それでも、置かれたメモやニュースによって現実だったと気づきます。

この時点でロイは「頼れる男性」であると同時に「何をするかわからない男性」でもあります。観客もジューンと同じように、彼の正体を知らないまま物語へ引き込まれるわけです。最初の接触が完全な偶然ではなかったことも、後から明らかになります。

CIAに追われる理由と危険な救出

翌日、ジューンの前にFBI捜査官を名乗るフィッツジェラルドたちが現れます。彼らはロイが危険な人物だと説明し、保護を理由にジューンを連れ出そうとします。しかしロイが突然現れ、高速道路で派手な銃撃戦とカーチェイスを繰り広げる事態に。ジューンは助けられたのか、再び誘拐されたのかさえ判断できません。

混乱したジューンは元恋人で消防士のロドニーに助けを求めます。平凡で安全な日常を知る彼なら理解してくれると思ったのでしょう。ところが、そこにもロイが現れます。彼はロドニーの脚を撃ち、ジューンを連れ戻すという、到底普通の恋愛映画では見られない行動に出ました。

ロイは自分がCIAのエージェントであり、組織内の裏切りによって追われていると説明します。一方、CIA側はロイが機密の装置を盗んで逃亡していると主張。どちらの説明にも、相手を疑わせる材料があります。

ここで注目したいのは、ロイの能力が高すぎることです。何人もの追っ手を倒す姿は痛快ですが、だからといって正しい人物だとは証明されません。ジューンにとって「助けてくれたこと」と「信用できること」は別問題なのです。この違いが後半の疑念にもつながっていきます。

ゼファーとサイモンの秘密

争奪戦の中心にあるのは、若き科学者サイモン・フェックが開発した「ゼファー」。見た目は小さな電池ですが、都市や潜水艦を動かせるほどのエネルギーを生み出すとされ、軍事的にも莫大な価値があります。ロイはサイモンと装置を守る任務に就いていたと語ります。

ロイの説明では、CIAのフィッツジェラルドがゼファーを奪って武器商人に売ろうとしたため、自分が裏切り者に仕立て上げられたとのこと。ジューンには確かめようがありませんが、何者かが装置と発明者を狙っていることだけは間違いありません。

ブルックリンにあるサイモンの隠れ家を訪れた2人は、本人が姿を消していることに気づきます。残された手がかりはアルプス方面を示していました。直後にはスペインの武器商人キンターナの手下が襲撃。ロイは再びジューンを眠らせ、彼女の知らない間に危機を切り抜けます。

ゼファーの仕組みは映画の中で詳しく説明されません。重要なのは、世界中の人間が欲しがるほど価値があることと、守るはずの組織内にも悪用を企む人物がいること。その意味では、装置は主人公たちを動かすための小道具として機能しています。科学映画として観るより、人間の欲望が何を起こすかを見るとわかりやすいでしょう。

孤島からオーストリアへの逃亡

ジューンが次に目覚めるのは、ロイが隠れ家にしている南国の島です。いつの間にか水着に着替えさせられていたことに怒る彼女に、ロイはどこかとぼけた調子で受け答えします。ロイの余裕とジューンの戸惑いがぶつかる、この作品らしい場面ですね。

ところが、ジューンが妹エイプリルからの着信に出たことで居場所が敵に知られ、島は無人機の攻撃を受けます。せっかく安全だと思えた場所が、一瞬で危険地帯に逆戻り。脱出後、ジューンが目を覚ますと、今度はオーストリアを走る列車の中です。

列車で合流したサイモンを狙い、殺し屋ベルンハルトが接近します。ジューンは事情を知らないまま彼と接触してしまいますが、戦闘が始まるとロイに協力し、以前より落ち着いて危機へ対応します。最初は周囲の出来事に振り回されるだけだった彼女にも、変化が現れているのです。

こうした場面では、ジューンが眠っている間の移動や戦闘が大胆に省略されます。観客まで突然別の場所へ運ばれたような気持ちになるのが面白いところ。ロイには日常の仕事でも、ジューンには一生に一度あるかないかの大事件。その感覚の違いが、アクションをコメディーに変えています。

ロイは本当に裏切ったのか

ここで映画が巧みなのは、ロイがジューンを利用したという事実を消さないことです。ロイを信じるべきだとわかった後でも、空港での行動や秘密の多さは変わりません。だからジューンが途中で疑ったことまで間違いになるわけではないのです。好きな相手でも、理解できない行動には疑問を持つ。その自然な反応があるからこそ、最後に自分の意思で彼を選び直す場面が際立ちます。

オーストリアのザルツブルクで、ジューンはロイが武器商人側の女性ナオミと会う姿を目撃します。しかも、ゼファーを売却するかのような話までしているのです。サイモンを守るという説明を信じ始めていたジューンにとって、見過ごせない光景でした。

そこへCIAのジョージ長官とフィッツジェラルドが現れます。彼らは、ロイが最初の空港でジューンの荷物を使い、ゼファーを検査の先へ運んだことを示します。出会いが純粋な偶然ではなかったと知り、ジューンの信頼は崩れてしまいます。

ジューンがロイの所在を伝えたことで、CIAの部隊が動き出します。屋根伝いに逃げたロイは撃たれ、川へ落下。装置も本人も見つからず、ジューンは彼が死んだのかもしれないと思います。サイモンも安全とは言えない状況に置かれ、事件は最悪の方向へ進んだように見えました。

では、ロイは本当にゼファーを売ろうとしたのでしょうか。答えは違います。後にジューンは、ロイが自分に取引の電話を聞かせ、CIAに彼を通報させることで、妹の結婚式に帰れるよう仕向けたのだと気づきます。彼女を危険から遠ざけようとしていた、というのがジューンの理解です。ただ、本人に説明せず誤解させる方法が正しかったかは別の話。善意と不誠実さが同居した、ロイらしい選択だったと思います。

ロイの本名と家族の秘密

アメリカに戻ったジューンは、妹の結婚式を終えてもロイのことが忘れられません。そこで以前見かけた住所を頼りに、ある夫婦の家を訪ねます。2人こそロイの両親で、彼の本名はマシュー・ナイトでした。両親は息子が軍務中に亡くなったと信じています。

夫妻の話では、マシューは非常に泳ぎが得意で、長い時間息を止められたとのこと。ジューンはそれを聞いて、川に落ちたロイが生き延びた可能性に気づきます。ささいな昔話が、生死を判断する手がかりになる場面です。

さらに両親は、応募した覚えのない懸賞に当たることが何度もあったと語ります。これはロイが身元を明かせないまま、ひそかに両親を支えていたことを思わせます。派手な銃撃戦ではわからなかった、息子としての顔が見える瞬間ですね。

家族と距離を置いていても、ロイが両親への愛情を失ったわけではないようです。大切に思う人を守るため、離れて生きる道を選んだとも考えられます。この事情を知ると、ジューンにも本心を隠してしまう理由が少し見えてきます。そしてジューンは、守られるだけの立場から、ロイを捜しに行く立場へ変わっていきます。

スペインでの決戦と黒幕の最期

ロイが生きていると考えたジューンは、自分がゼファーを持っているという嘘のメッセージを残します。監視されていることを逆手に取って敵を誘い出す、かなり大胆な作戦です。捕らえられた彼女はスペインへ運ばれ、自白剤を投与されますが、そこへロイが現れて救出します。

自白剤の影響でジューンは本音を次々と口にし、ロイへの気持ちも隠しません。ロイはサイモンを連れ去ったフィッツジェラルドを追い、ジューンもバイクで追跡に加わります。牛追いの騒ぎで街は大混乱となり、武器商人キンターナは牛の群れに巻き込まれて命を落とします。

最後にフィッツジェラルドはサイモンを人質に取り、ゼファーとの交換を迫ります。ロイはサイモンの命を優先して装置を渡しますが、フィッツジェラルドはなおも発砲。ロイはサイモンをかばって撃たれます。ここでは、利益のために人を利用する男と、人命を守るために価値ある装置を手放す男の違いがはっきり現れます。

逃走したフィッツジェラルドが乗る小型水上飛行機では、ゼファーが熱を帯びて爆発。彼は装置とともに死亡します。サイモンが発明したゼファーは、完成した安全な永久電池ではなく、不安定な試作品だったのです。黒幕は自分が欲しがった装置そのものによって破滅したという、皮肉の効いた結末でした。

事件の核心:ロイが裏切り者だったのではなく、CIA内部のフィッツジェラルドがゼファーを私物化しようとしていました。ロイはサイモンを守り、ジューンを危険から遠ざけようとしていたのです。

ラストシーンと2人のその後

銃撃を受けたロイは病院で目を覚まします。ジョージ長官はフィッツジェラルドの不正を認めてロイを評価するものの、ジューンとの関係を断つよう促し、安全な施設へ移送すると告げます。この「安全」という説明には、序盤にロイ自身が注意を促した言葉と重なる不気味さがあります。

その後、看護師がロイに薬を投与。意識が薄れる中でロイが気づいたのは、看護師の正体がジューンだということでした。いつもロイに眠らされていたジューンが、今度は彼を眠らせて病院から連れ出したのです。ここで救う側と救われる側が逆転します。

次にロイが目を覚ますのは、ジューンが修復した父親のポンティアックGTOの助手席。運転しているのは、もう逃げ惑うだけの女性ではありません。2人は南米のケープ・ホーンを目指して旅に出ます。結婚後の生活までは描かれませんが、少なくとも互いを選んで一緒に生きようとしていることは伝わります。

さらにロイの両親には、ケープ・ホーン行きの航空券が届きます。送り主は明言されませんが、家族をひそかに気遣ってきたロイが手配したと考えるのが自然でしょう。ラストで示されるのは、悪人を倒して任務に戻るという終わり方ではなく、大切な人との時間を取り戻すための出発なのです。

ナイト&デイのネタバレから真相を考察

映画『ナイト&デイ』のスペインでの牛追いシーンで、ロイとジューンが赤いバイクに乗り、迫る牛の群れから逃走する姿
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事件の答えがわかると、今度はロイとジューンの言動が気になってきます。タイトル、繰り返されるセリフ、父親の車など、何げない場面にも2人の変化が表れています。ここからは、私が特に印象に残った点を中心に掘り下げます。

ロイがジューンを利用した理由

2人の出会いには、確かにロイの計算がありました。彼はゼファーを移動させるため、空港でジューンの荷物を利用しています。ここを「運命の出会いだから何も問題がない」と美化するのは違うと思います。ジューンが怒るのも当然です。

ただし、最初から彼女を長く巻き込むつもりだったとは限りません。空港で2人の接触を疑ったフィッツジェラルドが彼女を同じ便に乗せたことで、危険が一気に大きくなりました。ロイがジューンを離そうとしても、追っ手が彼女を重要人物と見なした以上、安全は簡単に戻ってきません。

その後、ロイは自分の判断だけでジューンを守ろうとし続けます。眠らせて運んだり、理由を説明せずに行動したりするのは、スパイとしては合理的なのかもしれません。しかし、相手の意思を奪ってまで守ることが、本当の優しさなのかは考えさせられます。

私はこの不器用さがロイの人間臭い部分だと感じました。敵の動きは先読みできても、大切な人の心まで思いどおりにはできない。彼が終盤で学ぶのは、新しい戦闘技術ではなく、誰かに自分の人生を委ねることではないでしょうか。

フィッツジェラルドの真の狙い

フィッツジェラルドが欲しかったのは、ゼファーの持つ巨大な価値です。画期的なエネルギー技術が武器商人の手に渡れば、莫大な利益と影響力を生みかねません。彼はその利益のためにロイを裏切り者に仕立て、自分への疑いをそらそうとしました。

この人物の恐ろしさは、腕力だけでなく、CIAという組織の信用を利用できることです。ジューンに対して政府の立場から説明すれば、彼女は信じたくなります。しかも、ロイが実際に荷物を利用した事実を示されれば、完全な嘘より説得力があるでしょう。

フィッツジェラルドは、事実の一部を使って誤った結論へ誘導しています。ロイが何かを隠しているのは本当でも、それだけで装置を盗んだ犯人だとは言えません。ジューンが疑うのは自然であり、彼女を軽率だと責めるのは公平ではないと思います。

そして、最後は欲望の対象だったゼファーに命を奪われます。科学の進歩そのものが悪いのではなく、未完成の装置さえ金儲けのために奪おうとした判断が破滅を招いた、と受け止めるのが自然です。

ジョージ長官は最後まで敵なのか

ジョージ長官はロイの無実を認めますが、だからといって彼に自由を与えるわけではありません。ジューンとの関係は任務の妨げになると考え、ロイを組織にとって大切な人材として扱います。そこには、個人の幸福より任務を優先する考え方が見えます。

特に気になるのが「安全な施設へ移す」という言い回しです。序盤のロイは、そうした言葉を使う相手に注意するようジューンへ警告していました。その表現が終盤に再登場することで、観客もロイも不安を感じる仕掛けになっています。

ただし、ジョージ長官がロイの殺害を直接命じたと断定できるわけではありません。組織に拘束されるかもしれないという不穏さを示しているのであって、具体的な処分内容までは確定していないのです。この違いは押さえておきたいところですね。

私には、ロイが敵に追われる状態を終えても、組織から完全に解放されたわけではないことが大切に思えます。優秀なエージェントとして評価されるほど、自分の望む生活に戻れない。そんな彼を救い出すからこそ、ジューンの最後の行動に意味が生まれるのでしょう。管理された人生から抜け出す物語という点では、『トゥルーマン・ショー』の結末と自由についての考察とも通じるところがあります。

タイトルがKnightである理由

英語の原題は『Knight and Day』。よくある表現の「Night and Day(夜と昼)」と同じ発音ですが、最初の単語が「Knight」になっています。Knightには騎士という意味があり、さらにロイの本名「マシュー・ナイト」ともつながっています。

ロイは何度もジューンを救うため、確かに騎士のような役割を果たします。小さな騎士の置物が重要な品物を隠す道具になっている点も、題名とのつながりを感じさせます。もっとも、彼は礼儀正しいだけの理想の騎士ではありません。自分勝手なところもある、かなり型破りな騎士です。

「Day」をジューンの明るさや日常生活に重ねて読むこともできます。秘密と危険の世界に暮らすロイと、家族のいる日常から飛び出してきたジューン。対照的な2人という構図が、夜と昼という言葉遊びに重なって見えるのです。

ただし「Dayは必ずジューンだけを意味する」といった厳密な公式解釈が示されているわけではありません。確かなのは、騎士という意味とロイの本名がタイトルの言葉遊びに含まれていること。そこに2人の対照的な関係を読み取るのが、無理のない考察だと思います。

With meの言葉が変わる瞬間

私が最も好きなのは、ロイがジューンに「自分と一緒にいる場合」と「離れた場合」の生存可能性を手で示す場面です。危険な状況で彼のそばにいたほうが助かる可能性は高い。けれど、ジューンは最初から事件に参加したかったわけではありません。説明は正しくても、彼女にはほかの選択肢がほとんどないのです。

そして終盤、同じ身ぶりと言葉を今度はジューンが使います。ロイは「君と一緒に」と答える。これだけで、2人の関係がどれほど変わったかが伝わります。前半は生き残るための判断だった言葉が、最後には人生を共にする相手を選ぶ言葉へ変わったのです。

しかも、その決定を促すのはジューンの側。守られていただけの女性がロイを連れ出し、自分でハンドルを握っています。ロイも命令するのではなく、彼女の選択を受け入れます。2人は初めて、相手の意思を認めながら同じ方向を向けたのでしょう。

一見すると何げない恋愛のやり取りですが、実は物語全体の変化を短いセリフに閉じ込めた場面です。相手を守れることと、相手を信頼できることは違う。その距離が縮まる瞬間だから、派手な銃撃戦以上に心に残りました。

GTOといつかが象徴する自由

ロイの生活には最新の機器や特殊な乗り物があふれています。それに比べると、ジューンの古いGTOは驚くほど地味です。けれど、ラストで本当に2人を前へ運んでくれるのは、彼女が自分の手で直した車でした。誰かに与えられた秘密兵器ではなく、自分が時間をかけて向き合ったものが未来につながる。こう考えると、車は父親の形見以上の存在に思えます。

ジューンが修復する1966年型のポンティアックGTOには、亡くなった父親との思い出が詰まっています。彼女は妹への結婚祝いにしようとしますが、妹はベンとの新居を持つため、車を売却したいと考えています。2人にとって同じ車でも、その価値は違っているのです。

ジューンはやがて、自分が妹に車を欲しがってほしかったのだと気づきます。ここには、自分の願いを家族のためという形で託していた可能性も感じます。本当は自分が運転して、どこまでも旅してみたかったのではないでしょうか。

ロイとジューンの会話に繰り返し登場するのが「いつか」という言葉です。仕事や家族の予定が落ち着いたら、いつか夢を実現したい。そんな考えは、私たちにも身近ですよね。でも、先延ばしにしている限り、その日はいつまでもやってこないかもしれません。

最後にジューンがGTOを運転してロイを連れ出す場面では、ようやく「いつか」が「今日」になります。しかも、その車は最先端のゼファーではなく、彼女自身が時間をかけて修復した古い車です。幸せは誰かから与えられるものではなく、自分の手で動かし始めるもの。私はそんな意味を感じました。

なぜジューンは何度も眠るのか

ジューンが何度も薬で眠らされるのは、本作でも賛否が分かれそうな演出です。ロイは危険な状況でジューンを薬で眠らせることがあります。一方、島からヘリコプターで脱出する際には、恐怖を感じたジューン自身が気絶させてほしいと頼んでいました。状況に違いはありますが、同意なく薬を使った行為まで簡単に肯定はできません。彼の優しさと問題のある振る舞いは、分けて見る必要があります。

映画の作りとしては、この繰り返しが独特のテンポを生みます。ジューンが目覚めるたびに国や乗り物が変わり、観客も説明抜きで冒険の次の場面へ飛ばされるのです。危機の途中を省略することで、ロイの異常な有能さとジューンの混乱がいっそう際立ちます。

また、最後にジューンがロイを眠らせる展開には、前半の演出をひっくり返す意味もあります。ただし、同じことをやり返したから問題がなくなる、という話ではありません。物語上はジューンが行動の主導権を持ったことを示す、少し危なっかしいコメディーなのだと思います。

映画を観た感想と作品の魅力

本作は、ロイの説明を信じてよいのか、フィッツジェラルドの説明が正しいのかをジューンと一緒に迷う作りになっています。そのため、見返すと初回とは印象が変わる場面も少なくありません。最初はロイの余裕に笑っていた場面でも、彼が普通の暮らしを失ってきたと知ると、何でも平然とこなす姿が少し切なく見えてきます。そこに軽いアクション映画だけでは終わらない味わいがあります。

『ナイト&デイ』を観て印象に残ったのは、トム・クルーズ演じるロイの圧倒的な格好よさと、その裏にある人間臭さです。銃撃戦でもカーチェイスでも動じない彼は、まさに理想のスパイ。それなのに、家族には死んだと思われ、自分の望む普通の生活には手が届かない。何でもできるのに、いちばん欲しいものは持っていない人物なんですよね。

一方のジューンは、初めから何もできない女性ではありません。車の修復技術があり、家族を思う気持ちもある。ただ、周囲を優先するあまり、自分の夢を後回しにしてきました。ロイとの冒険は、彼女が新しい能力を一から手に入れるというより、もともと持っていた勇気や技術を自分の人生のために使い始めるきっかけになっています。

もちろん、あまりに都合よく進む追跡劇や超人的なアクションには笑ってしまう部分もあります。でも、この映画に求めたいのは緻密な諜報戦だけではないはず。命がけの危機の真っただ中でも軽口を交わす2人を見ていると、理屈より先に楽しい気分になります。アクションも恋愛も気負わず楽しめるところが魅力です。

そして私が最後に受け取ったのは、本当の自由は何でもできる能力ではなく、自分で大切な人や生き方を選べることだというメッセージ。恋愛の中で隠し事が生まれる点では、『ユー・ガット・メール』の信頼と恋愛の考察を思い出しました。派手な冒険の先に小さな幸せが待っているところが、私は好きです。

ロイが最後に手に入れたのは秘密兵器ではなく、好きな人と普通に旅をする時間。世界を飛び回るスパイより、助手席で目を覚ますひとりの男性として見えるところが、この映画の温かさだと思います。

ナイト&デイのよくある質問

Q1. ロイ・ミラーは最後に死んでしまいますか?

A. 死亡しません。サイモンをかばって銃撃を受けますが、病院で意識を取り戻します。その後、看護師に変装したジューンに連れ出され、2人で旅へ出発します。

Q2. ロイの正体と本当の名前は何ですか?

A. ロイはCIAのエージェントで、本名はマシュー・ナイトです。両親には軍務中に亡くなったと思われていますが、実際は生存し、別名で任務に就いています。

Q3. 裏切り者は誰で、ゼファーはどうなりますか?

A. 裏切り者はフィッツジェラルドです。彼が持ち去ったゼファーは未完成で不安定な状態にあり、逃走中の飛行機内で爆発。フィッツジェラルドは死亡します。

Q4. ジョージ長官も黒幕だったのでしょうか?

A. 長官がゼファーの売却に加担したと示す証拠はありません。ただし、ロイを安全な施設に移すという言葉は不穏で、組織が彼の自由を制限する可能性を感じさせます。

Q5. ナイト&デイのタイトルにはどんな意味がありますか?

A. 原題の「Knight and Day」は「Night and Day(夜と昼)」と同じ発音の言葉遊びです。Knightは騎士という意味に加え、ロイの本名「マシュー・ナイト」にもつながっています。

ナイト&デイのネタバレまとめ

ロイはゼファーを奪った裏切り者ではなく、サイモンを守ろうとしたエージェント。事件を操っていたのはフィッツジェラルドで、未完成の装置の爆発によって命を落とします。そしてロイは生き延び、最後はジューンに救われて旅立ちます。

ただ、私にとって大切なのは黒幕の正体以上に、2人の生き方が変わったことです。守られるだけだったジューンは自分で道を選び、誰よりも有能だったロイは初めて誰かに人生を預けます。「いつか」を「今日」に変える。そんな前向きな余韻が残る映画でした。

作品の公開情報やバージョンの違いは、20世紀スタジオ公式『ナイト&デイ』作品情報で確認できます。配信状況など変動する情報は、視聴前に公式サイトをご確認ください。

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